━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 山田順のメールマガジン「週刊:未来地図」 No.558 2021/07/06 「脱炭素」でトクをするのは誰か? なぜ欧米は自滅への道を突き進むのか? ウェブで読む:https://foomii.com/00065/2021070609000082143 EPUBダウンロード:https://foomii.com/00065-82371.epub ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ コロナ禍が終息に向かえば、次に世界が向かうのは「脱炭素」(カーボンニュートラル)だ。地球温暖化の犯人とされるCO2の排出を、世界全体で協力し合って減らしていこうというのだ。 しかし、そんなことをして、いった誰がトクをするのだろうか? 地球が温暖化しているのは事実だろうが、その犯人が本当にCO2かどうかはわからない。しかし、いまや「CO2削減=脱炭素」は逆らうことができない教義だ。 このまま行けば、欧米世界は衰退し、中国が高笑いすることになりかねない。 [目次] ────────────────────────────── ■原油価格の上昇で高まるインフレ懸念 ■日本だけデフレ、今後は悪性インフレに? ■アメリカ、欧州、日本、みな脱炭素一直線 ■株主の「ESG」への提案が活発化 ■「持続可能な開発目標」(SDGs)を示せ! ■コスト負担なしに脱炭素は達成できない ■史上かってない莫大な税負担が必要 ■脱炭素社会というのはじつは貧困社会 ■当初は新興国の発展を阻止するためだった ■クリーン産業を急速に発展させた中国 ■中国は本当にCO2を削減をするだろうか? ■欧米がソンをして中国がトクをする未来図 ■馬鹿正直に目標に邁進していいのか? ────────────────────────────────── ■原油価格の上昇で高まるインフレ懸念 最近、アメリカでは原油価格が高騰し、それにつられるように消費者物価も上がっている。コロナ禍が終息に向かっているので、需要が戻り、すべての消費が上向くようになってきたからだ。 アメリカの労働省が6月10日に発表した5月の消費者物価指数は、前年同月比5.0%の上昇で、2008年8月以来、約13年ぶりの大幅な伸びとなった。変動の大きいエネルギーと食料品を除いたコア指数は、同3.8%の上昇だった。 それにしても、原油価格の高騰ほどわかりやすいものはない。自動車社会のアメリカでは、ガソリンの需要が伸びれば、原油価格は必ず上がる。自動車ばかりではない。減便していた飛行機も元に戻ったのだから、原油価格が上がらないわけがない。 「このままいけば、2014年以来の100ドル突破がありえる」という声も聞こえるようになった。 消費者物価の上昇は、インフレを招く。そのため、FRBのパウエル議長は、早くも火消しに走った。… … …(記事全文7,453文字)