━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 山田順のメールマガジン「週刊:未来地図」 No.554 2021/06/15 「カーボンニュートラル」(脱炭素)で、 日本経済は低迷、国民はさらに貧しくなる ウェブで読む:https://foomii.com/00065/2021061509000081334 EPUBダウンロード:https://foomii.com/00065-81576.epub ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ コロナ禍が続いているので、「カーボンニュートラル」(脱炭素)という大問題に対する人々の関心度は低い。「日本は地球温暖化対策に遅れている。なんとかしなければ」といったところが、一般の人々の認識だろう。 しかし、今後、脱炭素化が進めば進むほど、日本経済は落ち込み、国民生活は貧しくなっていく。それなのに、政府は「脱炭素社会」実現に向けてのロードマップをつくり、まったく無防備なカーボンニュートラル政策を進めようとしている。 [目次] ────────────────────────────── ■G7では地球温暖化対策がメインテーマ ■石炭火力に頼る日本と中国を狙い撃ち ■あわててつくった脱炭素社会ロードマップ ■再生可能エネルギー発電への取り組み ■科学論争は終わり各国の経済覇権戦争に ■日本が不利な脱炭素ゲームチェンジ ■車載電池のCO2排出、日米欧で共通ルール ■トヨタもとうとうCO2削減目標を前倒し ■EV1本化はドイツが仕掛けた巧妙な罠 ■温暖化対策の切り札とされる「炭素税」 ■関税のかけ合いになり生産コストが上がる ■カーボンニュートラルが空洞化を加速させる ■日本は物価は安いのに電気代は高い ■再エネ100%だと電気代は2倍以上に ────────────────────────────────── ■G7では地球温暖化対策がメインテーマ 6月13日、イギリスで行われていた「G7サミット」(主要7カ国首脳会議)が終わった。日本のメディアは、東京オリンピックが間近なため、「G7首脳 五輪支持『コロナ克服の象徴』」(共同通信)といった報道一色だったが、今回のサミットの主要テーマはオリンピックなどではない。私がチェックしたところでは、欧米のメインストリームメディアで、G7報道でオリンピックを見出しに使ったところは一つもなかった。 では、なにがメインテーマだったか? それは米英主導による「対中政策」(対中包囲網の形成)の合意と、「地球温暖化対策の促進」である。共同宣言は、この2つの柱でできていて、とくに地球温暖化に関しては、かなり踏み込んで協力していくことが宣言された。すでに、G7は2030年までに10年比で地球温暖化ガス(グリーンハウスガス)の排出量をほぼ半減させることで合意しているので、改めてこれが確認されたのだ。 さらに、具体的に明言されたのが、温暖化ガスの大きな原因とされる石炭火力の縮小だ。5月に開かれた「G7気候・環境相会合」では「排出削減対策が取られていない場合は新規の国際支援の全面終了に向けて具体的な措置を2021年中に取る」ことが合意されていた。したがって、これが再確認され、共同宣言に盛り込まれたのである。… … …(記事全文10,568文字)