━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 山田順のメールマガジン「週刊:未来地図」 No.551 2021/05/25 なぜ日本は「デジタル後進国」になったのか? ウェブで読む:https://foomii.com/00065/2021052509000080489 EPUBダウンロード:https://foomii.com/00065-80749.epub ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ コロナ禍でわかった日本の後進国ぶり。いろいろな点が指摘されているが、もっとも深刻なのはデジタル化の大幅な遅れだろう。焦った政府は「デジタル庁」を設置し、今秋にもスタートさせるとしているが、まだなにも進んでいない。 なぜ、ここまで日本のデジタル化は遅れたのか? 今後、この遅れを挽回できるのか? 考えれば考えるほど、絶望的な気分になってくる。 [目次] ────────────────────────────── ■「デジタル庁設置法」の中身とは? ■「笛吹けど踊らず」になる5つの問題点 ■各省庁の出向者が民間採用者を使う組織 ■フランスも接触確認アプリで失敗していた ■デジタル化最先進国アメリカの状況 ■FAXでデータをやり取りしていた保健所 ■手書きを打ち込みに代えただけのデジタル ■デジタル環境は上に立つ者がつくる ■デジタル堪能でもそれを言ってはいけない ■デジタルスキルが格差を生まない日本 ────────────────────────────────── ■「デジタル庁設置法」の中身とは? コロナ禍が起こってすでに1年以上が過ぎた。 日本のデジタル後進国ぶりは、コロナ禍の当初から指摘されたというのに、いっこうに改善されていない。新型コロナウイルス接触確認アプリ「COCOA」(ココア)の欠陥は放置されたままで、ほぼ誰も利用していない。また、やっと始まったワクチン接種も、欠陥だらけの予約システムのせいで、国民の不満は高まる一方だ。 そんななか、5月12日に「デジタル改革関連法案」が成立し、9月1日にデジタル庁が正式に発足する運びになった。しかし、デジタル庁ができれば、デジタル化が進むかと言えば、そうはならないだろう。 なぜ日本は、ここまでデジタル化が遅れたのだろうか?それは、デジタル化とはいったいなんなのか? ほとんどの日本人が理解していないからだろう。とくに、高齢者はまったくわかっていない。 デジタル改革関連法は、デジタル庁設置法に加えて、次の4分野の5つの法律で構成されている。 (1) デジタル社会形成基本法 デジタル改革に取り組む基本理念を定めている。 (2) デジタル社会形成整備法… … …(記事全文8,214文字)