━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 山田順のメールマガジン「週刊:未来地図」 No.548 2021/05/04 「安価地獄」に陥った日本(下) デフレを放置したままだと先進国転落は確実 ウェブで読む:https://foomii.com/00065/2021050409000079683 EPUBダウンロード:https://foomii.com/00065-79953.epub ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 前回のメルマガでは、100円ショップ、回転寿司、ディズニーランドの入場料などを世界と比較して、日本のモノとサービスがいかに安いかを述べた。まさかここまで安いのかと、改めて思った人も多いのではと思う。 しかし、モノやサービスだけではなく、1人当たりのGDPも給料も安いとなると、問題は深刻である。このまま限りなくデフレが続くと、日本は立ち直れなくなるからだ。 なぜ、日本は「安価地獄」に陥ってしまったのだろうか?ここから脱出するにはどうしたらいいか? を考えてみたい。 [目次] ────────────────────────────── ■日本だけ給料が上がらなかった ■世界基準の給料を出すと非難される ■中国の賃金事情はどうなっているのか? ■中国大都市部の給料は日本と並んだ ■なぜ給料は上がらず物価は安くなったのか? ■次世代産業を育てることに失敗した ■「物価安」「低賃金」が続くとなにが起こるか? ■次のターニングポイントは2025年 ────────────────────────────────── ■日本だけ給料が上がらなかった 物価安より深刻なのが、日本の給料の安さだ。2020年の厚生労働省の調査によると、大卒の初任給の平均額は約22万6000円(通勤手当を含む)。ここ10数年で上がってはいるものの、それはほんのわずかであり、ほぼ横ばいの状態が続いている。 また、国税庁の「民間給与実態統計調査」によると、1990年の平均給与は425万2000円で、その後しばらくは上昇したが、1997年の467万3000円をピークに下がり始め、2019年は436万4000円まで下がっている。 初任給は横ばいで、給料は下がり続ける。これが30年間にわたって続いてきたのが、わが国なのである。まさに、「失われた30年」と言うほかなく、いま、私たちは、その後に襲ってきたのがコロナ禍の真っ只中にいる。 日本の賃金が上がらない状況は、先進諸国から見ると異常である。OECDの統計を見ると、2000年から2018年までの間で日本は106ドル増加しているが、アメリカは9189ドル、ドイツは6497ドル、イギリスは5862ドルも増加している。韓国にいたっては、1万390ドルも増加し、いまや1人当たりのGDPで、購買力平価ではもちろんのこと、名目でも日本を追い抜こうとしている。 しかし、なぜか日本のメディアは、警鐘を鳴らさない。コロナ禍の影響で、企業業績が悪化し、失業者も増えているので、この先、給料はさらに下がるだろう。となれば、この問題をもっと深刻に捉えてもいいはずなのに、メディアは口を閉ざしている。そのため、多くの日本人が、現在、自分たちが置かれている状況にさほど違和感を抱かない。給料が安い以上に、物価が安いからだ。 前回のメルマガで詳述したが、日常生活に必要な生活用品をほぼ100円で買える国は、日本だけである。「100均」は、日本にしかないのだ。 ■世界基準の給料を出すと非難される… … …(記事全文6,317文字)