━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 山田順のメールマガジン「週刊:未来地図」 No.544 2021/04/06 「脱炭素社会」の罠に落ちた日本 EVと炭素税で自動車産業まで失う危機 ウェブで読む:https://foomii.com/00065/2021040609000078584 EPUBダウンロード:https://foomii.com/00065-78868.epub ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 4月22日、バイデン大統領が世界に呼びかけた「気候変動サミット」が開かれる。バイデン政権はトランプ前政権が離脱した「パリ協定」に復帰し、「脱炭素社会」に向かってEUとともに邁進する予定だ。慌てた日本も、この動きに足並みをそろえ、菅義偉首相は柄にもなく「カーボンニュートラル」を提唱し、2050年に実現させると表明した。 しかし、脱炭素社会実現の切り札とされる「EV」(電気自動車)で、日本は大きく出遅れている。また、「再生可能エネルギー」による発電も進んでいない。「炭素税」に関してもコンセンサスができていない。 となると、このまま漫然としていれば、日本は“最後の砦”の自動車産業まで失いかねない。 今回は、日本が置かれている危機的現状をレポートする。 [目次] ────────────────────────────── ■バイデンが呼びかけた気候変動サミット ■世界に遅れた「カーボンニュートラル」宣言 ■EUは電池駆動のEV以外は認めない ■なぜEVはHEVよりエコでないのか? ■ドイツがEVしか認めなくなった理由 ■ドイツを超えられるか?日本のEV ■温暖化対策の切り札とされる「炭素税」 ■国境炭素税が実施されると日本は窮地に ■WTO も自由貿易に反すると反対 ■地球環境は守れても日本は衰退する ────────────────────────────────── ■バイデンが呼びかけた気候変動サミット この4月22、23日に開かれる「気候変動サミット」で、日本の将来が大きく変わると言っても過言ではない。それほど、今回のサミット(首脳会談)は重要だ。 なぜなら、もうほぼ外堀は埋まってしまったが、ここで日本はアメリカとEUが進める「地球温暖化対策」(カーボンニュートラル政策)に同調させられるのが間違いないからだ。 今回のサミットは、バイデン大統領が世界に呼びかけたもので、EU各国から、ロシア、インド、中国など世界40カ国の首脳が参加し、ヴァーチャルで行われる。 最大の注目は、なんといってもアメリカの「パリ協定」復帰。そして、今年の11月に予定されている「COP26」(国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議)に向けての国際枠組みの確立だ。 すでに、バイデン政権は、トランプ前大統領が無視してきた「グリーンニューディール」(地球温暖化防止と経済格差解消を両立させた経済刺激策)を大胆に進めることを表明している。3月31日に発表された2兆ドルの「インフラ投資計画」にも、環境対策は盛り込まれた。たとえば、EVを普及させるための充電設備を2030年までに全米で50万カ所設置する、スマート電力網の整備に1000億ドルを拠出するなどだ。 ■世界に遅れた「カーボンニュートラル」宣言… … …(記事全文8,288文字)