━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 山田順のメールマガジン「週刊:未来地図」 No.543 2021/03/30 中国の台湾侵攻は近いのか? 「米中対立」激化のなか日本が取るべき一本道 ウェブで読む:https://foomii.com/00065/2021033009000078307 EPUBダウンロード:https://foomii.com/00065-78593.epub ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ここにきて、米中の対立がにわかにきな臭くなってきました。先日、アラスカで行われた米中の「2+2」会談では、激しい非難の応酬があり、その後も両国の非難合戦は続いています。また、アメリカ軍の司令官が「6年以内に中国が台湾を侵攻する可能性がある」と議会で証言したこともあり、米中戦争が近いという声も上がるようになりました。 しかし、日本のスタンスは定まっていません。尖閣諸島問題を抱えているにもかかわらず、明確な台湾防衛、対中対決路線を打ち出せていません。日本が取るべき道は一つしかないのに、これでいいのでしょうか。 [目次] ────────────────────────────── ■台湾有事が起こっても「注視する」だけ? ■日本とアメリカで異なる対台湾スタンス ■アメリカに従い初めて「人権問題」を非難 ■アラスカ「2+2」での激しい応酬 ■非難応酬はお互いの国内向けの演出か? ■なぜ台湾侵攻は「6年以内」なのか? ■アメリカの対中強硬姿勢は変わらない ■日本が取るべきなのは対中強硬路線 ■アメリカが台湾を見捨てる可能性 ■いま最大の台湾問題は「半導体」不足 ■大国同士の戦争はない。現実を見よ! ────────────────────────────────── ■台湾有事が起こっても「注視する」だけ? 加藤勝信官房長官の答弁は、いつも煮え切らないうえ、具体性に欠く。3月24日の記者会見もそうだった。 4月9日と言われているワシントンDCでの日米首脳会談(バイデン・菅会談)を前に、記者からアメリカ側から日本の防衛能力の強化の要求が出るのではないかと質問され、「現下の厳しい安保環境のなかで、自らの防衛力をより強固にし、日米同盟をさらに強化するために防衛能力を向上させることは重要であると認識している」と答えたのだ。 単に、「当然、議案に上がる」などと答えればいいものを、なぜ、こんな言い方をするのだろうか? すでに、アメリカ側は日本に防衛力強化を求めることを表明している。日本のミサイル・ディフェンスの強化は、日米同盟にとって急を要する課題だからだ。 この会見の前日にも、次期インド太平洋軍司令官に指名されたジョン・アキリーノ太平洋艦隊司令官が、上院軍事委員会の指名承認公聴会で、日本の防衛力強化の重要性を指摘した。さらに、台湾有事をめぐって彼は、「予想より近い」との見解を述べた。 また、インド太平洋軍のフィリップ・デービッドソン司令官は、3月9日の上院軍事委員会の公聴会で、今後6年以内に中国が台湾を侵攻する可能性があると証言していた。 そのため、24日の会見では、台湾有事に関する日本の対応についての質問も出た。しかし、加藤官房長官の応答は、またしてもあいまいだった。 「いかなる事態においても領土・領海・領空、国民の命と平和な暮らしを守り抜く。政府のもっとも重要な責務を果たす」と言い、さらにお決まりのように、「中国と台湾の平和的な対話による解決」を期待しているとし、「両岸関係の推移を注視していく」と続けたのだ。… … …(記事全文8,446文字)