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山田順の「週刊:未来地図」 ― 日本は、世界は、今後どうなっていくのでしょうか? 主に経済面から日々の出来事を最新情報を元に的確に分析し、未来を見据えます。

山田順(ジャーナリスト・作家)

山田順

日本はあの戦争に勝てた。しかし、その作戦は実行されなかった!

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━       山田順のメールマガジン「週刊:未来地図」    No.076 2013/02/11 日本はあの戦争に勝てた。しかし、その作戦は実行されなかった!     ウェブで読む:http://foomii.com/00065/2014021109000019652     EPUBダウンロード:http://foomii.com/00065-20335.epub ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  安倍首相の靖国参拝以後も、揉井勝人NHK会長の「慰安婦はどこの国でもあった」発言、作家・百田直樹氏の「南京大虐殺はなかった」発言など、なぜか、この国では戦争をめぐる発言が繰り返されています。  半世紀以上も前の戦争を、なぜ日本は今日まで引きずり続けているのでしょうか? その原因はたった一つ。戦争に負けたからではないでしょうか?  小さい頃から私は、太平洋戦争の歴史を繰り返し読んできました。その度に、日本はなぜあの戦争に勝てなかったのか?と思ってきました。私がいつも疑問に思ったのは、ミッドウェー海戦のくだりです。なぜ、日本海軍はあんなバカな作戦をやったのだろうか? そう思うと、本当に悔しくて眠れないこともありました。  じつは、ミッドウェーにこだわらず、戦略的に正しい作戦を実行していれば、日本は確実にあの戦争に勝てたのです。今回は、そのことを書かせてもらいます。 [目次]────────────────────────────────── ■戦争の傷をいたずらに広げる自虐メディア ■歴史とは戦争に勝ったほうがつくるもの ■在野の戦史研究家が残した2冊の本 ■日本の戦いは対米一辺倒の戦いではなかった ■日本の指導者は合理的な判断をしなかった ■東と西の二正面のどちらを優先すべきか? ■「攻勢週末点」と「兵站」の概念を欠いていた海軍 ■真珠湾の奇襲成功で舞い上がった山本五十六 ■史上初の空母決戦での成果を誇大報告 ■「不運」として誤魔化されたミッドウェー海戦 ■ドイツは欧州、北アフリカで有利な戦局を戦っていた ■ドイツからインド洋での支援要請が! ■インド洋が制圧されたら打つ手がない ■なんと井上成美、山本五十六はガ島にのめり込む ■靖国に眠る英霊は、いったい誰があの世に送ったのか? ────────────────────────────────────── ■戦争の傷をいたずらに広げる自虐メディア  いきなり、太平洋戦争の話をする前に、最近、毎日新聞が伝えた『米大使館 百田氏発言「大虐殺なかった」に自制促す』(2月8日付け)という記事を紹介しておきたい。  これは、毎日新聞の記者がアメリカ大使館に取材して書いたものだ。その内容は、以下のとおりである。 《在日米大使館の報道担当官は7日、毎日新聞の取材に、NHK経営委員の百田尚樹氏が東京都知事選の街頭演説で「南京大虐殺はなかった」などと語ったことについて「責任ある立場の人物は、地域の緊張をさらに悪化させるような発言を控えるよう望む」とコメントし、自制を促した。百田氏が同じ演説で、原爆投下と東京大空襲を「大虐殺」と位置づけ、東京裁判を「これをごまかすための裁判だった」と主張したことについては「ばかげた意見」と批判した。》  はっきり言って、毎日の記者はただのマッチポンプで、大バカ者と言わざるをえない。わざわざ、米大使館の報道官にこんなことを言わせる必要などないからだ。こういうことをすると記事は書けるが、波紋をさらに広げるだけで、結果的に日本のイメージを貶めてしまう。  もともと百田発言など、メディアが取り上げなければ、なにも起こらなかった。しかし、これを取り上げ、今度は、その矛先をアメリカに向ける。要するに、騒ぎをどんどん大きくしているのはメディア自身だ。  戦争に負けた国民は、そのことを早く忘れたいし、その傷に触れてほしくないものだ。それなのに、自国メディアが、こればかりやっている。靖国問題も、慰安婦問題も、じつは朝日新聞がつくり出したものだということは、メディア関係者なら周知の事実だ。それなのに、日本のメディアはまだこれを続けている。まったく、いい加減にしてほしいと思う。中韓と歴史認識で対立、アメリカにも失望されたいま、メディアは自国に不利になることは自重すべきではないだろうか? ■歴史とは戦争に勝ったほうがつくるもの  というわけで、太平洋戦争の話に移る。  あの戦争は、国家総力戦だったのだから、南京大虐殺、東京大空襲、東京裁原爆、東京裁判など、いまの価値観でなにを語っても無意味である。歴史は戦争に勝ったほうがつくるので、負けたほうの主張は通じないからだ。  そこで、負けたのは私たちであるから、なぜ勝たなかったのか?と、はっきり分析・反省しておかなければならない。これができていないから、いまも歴史認識で揺れるのだ。  あの戦争は勝てた。私は、戦史を繰り返し読み、何度か資料にあたって、あるときからそう思うようになった。この私の考えを確信に変えてくれたのが、佐藤晃さん(故人)という在野の戦史研究家だ。  佐藤さんを紹介してくれたのは、議員の西村真悟氏で、もう10年以上前、「海軍悪玉論を唱えている面白い人間がいる」と、佐藤さんが書いたものを見せてくれた。私はそれを読み、その論考の確かさに驚かされた。
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