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山田順の「週刊:未来地図」 ― 日本は、世界は、今後どうなっていくのでしょうか? 主に経済面から日々の出来事を最新情報を元に的確に分析し、未来を見据えます。

山田順(ジャーナリスト・作家)

山田順

新刊『脱ニッポン富国論』(文春新書)のご案内

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━       山田順のメールマガジン「週刊:未来地図」 番外編[04] 2014/01/22  新刊『脱ニッポン富国論』(文春新書)のご案内     ウェブで読む:http://foomii.com/00065/2014012209000019286     EPUBダウンロード:http://foomii.com/00065-19945.epub ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 今回は、勝手ながら私の新刊の案内です。この1月20日、PHP研究所から『人口が減り、教育レベルが落ち、仕事がなくなる日本』(1500円+税)を上梓します。本書は、このメルマガで書いてきたことをもとにした「日本衰退論」です。よほどのお人好しでない限り、日本の将来はいまより悪くなると考えていると思います。私もその一人です。 そこで、なぜ、私がそれほど悲観的なのかを徹底して述べたのが、本書です。  楽観論では未来は切り開けません。悲観論こそが未来を変えるのです。  ────────────────────────────────────── ■本書で私が言いたかったこと  本書のタイトルは『人口が減り、教育レベルが落ち、仕事がなくなる日本』という非常に長いものです。本当は、もっと長くしたかったのですが、これ以上やると表紙からはみ出てしまうこともあり、編集者も納得しませんでした。  ではなぜ長くしたかったのか? それは、こんな混迷の時代は、「饒舌」でないと通じないのではないかと思ったからです。また、このタイトルにあるような現実を、日本人がなぜか無視して「そうではない」と思い込んでいるからです。  「人間は自分が信じたいことを喜んで信じるものだ」という諺がありますが、 最近の日本人はどうやらこうなってしまったようです。目の前には厳しい現実があるのに、それを無視し、いまだに「日本は強い国」「日本経済は世界最強」だと思っている人は多いと思います。  しかし、それは完全に間違った認識です。  私たちの暮らしは日々貧しくなっているのです。  ですから、ここから日本をよくしていくのは、この厳しい現実を受け入れることからはじめなければなりません。そこで、本書では、このメルマガでも述べて来た「日本の厳しい現実」を徹底して論じています。 ■はじめに(全文)を紹介します 小学生のころ、初めて世界地図を見て世界は本当に広いなと思った。そして、世界のなかで日本の位置を知って、どうしてこんな世界の端っこにあるのだろうと不思議に思った。  アジア大陸の東の端(極東)、その向こうは広大な太平洋。アメリカもヨーロッパもはるか遠くにある。  それでも、大人たちはみんなこう言っていた。 「日本はすごい国なんだよ」  たしかに、大人になるにつれて、日本がすごい国だということがわかってきた。土の道路がいつの間にかアスファルトに変わり、家にはテレビがやって来た。新幹線が走り、東京オリンピックが開かれ、高速道路ができた。高層ビルが建ち、スーパー、コンビニができ、食べたいもの、欲しいものがいつでも手に入るようになった。  やがて、誰もがブランド品を持つようになり、週末は海や山へとレジャーに出かけるのが普通になった。遠いと思っていたアメリカにも、旅行で行けるようになった。  こういったことが、私の人生の前半で次々に起こった。  しかし、いまの日本は「すごい国」だろうか?  私は、この20年間あまり、日本がすごいと思ったことは一度もない。また、私の周囲の人たちも、いまの日本について、誰一人として昔のように私に言わない。 「日本はすごい国なんだよ」と……。  そのように言っているのは、一部の「日本経済が世界最強」などという本を臆面もなく書いている人たちと、現実を知らないか、見ない人たちだけだ。  いったい、日本はいつからすごくなくなったのだろうか? なぜ、日本の首相は「日本を取り戻す」と言っているのだろうか? この先、日本はどうなるのだろうか?  私が小学生だった1962年、英『エコノミスト』誌は、「注目の日本」(Consider Japan)という特集記事を掲載した。この特集記事がいまでも語り継がれるのは、日本が大発展するという未来をピタリと予測していたからだ。  実際、日本は1968年にGDPで当時の西ドイツを抜き、世界第2位の経済大国になった。そして、1979年には『ジャパン・アズ・ナンバーワン』とまで称される国になった。  しかし、『エコノミスト』誌は、2012年に、2050年の世界を予測した本(2050年の世界―英『エコノミスト』誌は予測する、文芸春秋)のなかで、今度は日本の衰退を予測している。 「日本は世界史上未踏の超高齢社会となる」「高齢化による国家財政の悪化が進む 」「日本のGDPは、2050年には相対的に大幅に低下する」……などが、そのポイントだ。
 今後の日本は、急速にプレゼンスを失っていく。
2010年には、世界経済の5.8パーセントを占めていた日本のGDPは、2030年には3.4パーセントになり、2050年には1.9パーセントになる。経済成長のスピードも西ヨーロッパを下回り、今後40年をとおして、1.1から1.2パーセントで推移する。その結果、2010年には、日本経済はいまの3分の1になってしまうというのだ。  これは、私が小学生のころに見た世界地図で日本があった位置、世界の端っこに戻ることを意味するのだろうか? 極東(世界の端っこ)という辺境にある「島国」、それが日本の本来のポジションなら、これを受け入れる以外にないのだろうか?  50年前に日本の未来をピタリと当てたことから、今回の『エコノミスト』誌の予測も当たる確率は高い。ただ、予測はあくまで予測で、未来は変えられるということを、私たちは忘れてはいけない。50年後の日本は、私たちの生き方次第で変わるのだ。  ただし、現在のところ、私はものすごく悲観的である。『エコノミスト』誌の予測が今回も当たるだろうと、考えている。
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