━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 山田順のメールマガジン「週刊:未来地図」 No.070 2013/12/29 日本は本当に民主国家なのか? 重税国家は必ず衰退する(後編) ウェブで読む:http://foomii.com/00065/2013122909000018891 EPUBダウンロード:http://foomii.com/00065-19553.epub ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ いよいよ今年も残すところあとわずか。今回は、前回に引き続き、これからどんどん進む増税について考察します。すでに日本は十分な「重税国家」であり、「大きな政府」です。それなのに、この先ずっと増税が続いていくのですから、衰退していくのは歴史の必然です。 現在私は、来年の3月に文春新書から出す予定になっている「税金の本」(仮)を執筆中で、その中の一つの章は「重税国家は衰退する」というテーマにしようと思っています。そこで、書こうとしていることも含めて、改めて税と国家の問題を述べてみたいと思います [目次]────────────────────────────────── ■2014年から続々実行される「増税メニュー」 ■よく言われる「課税の3原則」とはなんだろうか? ■「課税の3原則」のうち実現するのは(3)だけか? ■20年前にマイナンバー制の危険を指摘 ■「税法十の鉄則」の逆を行っている日本 ■なぜ日本の街にはお金持ちが住む豪邸がないのか? ■フラットな税金にすると税収が増える ■国家がものの価値を決める「贅沢税」 ■富裕層の増税をカモフラージュにして消費税を増税 ■国家が税によって国民生活を縛っていいのか ────────────────────────────────────── ■2014年から続々実行される「増税メニュー」 まずは、年明けから、どんな税金が上がるのか、今後の増税メニューとスケジュールを見てみたい。以下主なものを列記する。 ○2014年1月「証券優遇税制」の廃止。キャピタルゲイン課税はこれまでは10%(正確には復興特別所得税が加わり10.147%)だったが、元の20%(20.315%)に。 ○2014年4月 消費税税率8%にアップ ○2014年4月 国民年金保険料値上げ(原則月280円アップ、2017年まで) ○2014年4月 高齢者(70〜75歳未満)健康保険料値(自己負担2割に) ○2014年4月 年金受給額1%減額 ○2014年6月 復興特別住民税」により住民税の均等部分に1000円が加算 ○2014年10月 厚生年金保険料値上げ(年0.354%にアップ、2017年まで) ○2015年1月 所得税値上げ(最高税率45%) ○2015年1月 相続税値上げ(基礎控除縮小と最高税率アップ) ○2015年4月 軽自動車税の引き上げ ○2015年10月 消費税税率10%にアップ この後、2016年には所得税の増税(所得控除の縮小)、地球温暖化税のアップなどがあり、いよいよマイナンバー制度が導入される。マイナンバー制度の導入がなにをもたらすかは、前回のメルマガで述べたので、それを参考にしてほしい。ただ、ひと言で言えば、これによって私たちは番号になり、納税に関して一括で国家に管理される日がやって来る。 つまり、重税国家ニッポンは完成に向かうのである。 ■よく言われる「課税の3原則」とはなんだろうか? さて税金と言うと、よく言われるのが次の「課税の3原則」という考え方だ。 (1)課税の中立性 (2)課税の公平性 (3)課税の簡素性 (1)の「課税の中立性」とは、課税することが、市場経済における企業や個人の活動を阻害してはいけないということ。つまり、増税することで人々の行動が変わってしまえば、経済活動も大きく変わってしまう。消費税を増税すれば、低所得者層は生活防衛のために「出費を抑えよう」と考え、消費は減退する。また、キャピタルゲイン課税が上がれば、投資家は「株で運用しても税金で持っていかれる分が多くなるので買うのをやめよう」と考える。… … …(記事全文10,306文字)