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山田順の「週刊:未来地図」 ― 日本は、世界は、今後どうなっていくのでしょうか? 主に経済面から日々の出来事を最新情報を元に的確に分析し、未来を見据えます。

山田順(ジャーナリスト・作家)

山田順

最大の疑問:なぜ日本は自滅の道を選択するのか?

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━       山田順のメールマガジン「週刊:未来地図」    No.066 2013/12/03   最大の疑問:なぜ日本は自滅の道を選択するのか?     ウェブで読む:http://foomii.com/00065/2013120309000018518     EPUBダウンロード:http://foomii.com/00065-19182.epub ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  このテーマは、私がここ何年もずっと考え続けてきたことであり、いまだにどうしてなのか、答が見出せません。1990年のバブル崩壊から20年以上も経ったというのに、いまもなお、日本は「自滅への道」を歩んでいるからです。  毎年、莫大な借金を積み上げ、財政を破綻状況にしつつ、経済成長はわずかしかできない。なんで、こんなことを繰り返さなければいけないのでしょうか?    しかも、この選択は、本来日本人が美徳として持っている「質素倹約」の生き方とはまったく違っています。 [目次]────────────────────────────────── ■借金による公共投資でつくられた経済成長 ■アベノミクスは繰り返される「悪夢」 ■資本主義は「質素倹約でできた「余剰」から出発する ■日本の資本主義を支えた精神とはなにか? ■日本最強の銀行、静岡銀行に受け継がれた「報徳思想」 ■あのバブル期にいち早く融資を引き上げた ■ポール・クルーグマン教授の主張に「唖然」 ■ドイツも日本と同じ「質実倹約」の国 ■アリに対してキリギリスになれと迫る ■日本は自分がアリであることを忘れたのか? ■アメリカと同じことをやれば必ず自滅する ■アメリカが日本に要求し続ける「内需拡大」 ────────────────────────────────────── ■借金による公共投資でつくられた経済成長  アベノミクスが始まってちょうど1年、日本は変わったのだろうか?  まず、このことから、今回は書き始めたい。私の見立ては、変わっていないだからだ。そんなバカな、安倍首相が言うように、今年の日本は先進国でいちばんGDP成長率が高いではないかと、反論する人もいるだろう。たしかに、今年の日本の成長率はほかの先進国より高い。また、去年(名目0.4%、実質1.2%)に比べたら、断然、高い(見通しで名目2.6%、実質2.8%)。  しかし、その中身は、ほとんど空っぽだ。  先月、政府が発表した7~9月期のGDPの速報値は、年率換算で実質1.9%増だった。その前の4〜6期は年率3.8%増、さらにその前の1〜3期は年率4.3%増だった。つまり、じょじょに悪化しているのだ。  それでもこのままいけば、年間で前記した見通しの3%弱で収まると思うが、この程度で、アベノミクスが成功していると言えるだろうか?  そこで、7~9月期の1.9%増の中身を点検すると、慄然とする。  なぜなら、景気を押し上げる二つの民間セクターが、まったく伸びていないからだ。個人消費は0.1%増(4〜6期は0.6%増)、設備投資は0.2%増(4〜6期は1.1%増)と、前期より大きく落ち込んでいる。つまり、ほとんど成長していないのだ。日本経済は約6割が内需によって支えられている。それなのに個人消費も設備投資もまったく伸びていないということは、成長エンジンが機能していないということを現している。  ではなぜ、全体で1.9%増という数字が出たのだろうか?  それは、別のセクターが伸びたからだ。公共投資6.5%増、住宅投資2.7%増がその正体である。GDP計算には政府の支出が含まれるが、そのうちの主要セクターである公共投資が、GDPの成長をもたらしているに過ぎないのだ。  しかも、あれほど円安で伸びると言っていた輸出は、伸びるどころか、なんと0.6%減である。  これを景気回復、成長と言えるだろうか?  ずばり書いてしまうと、すでにアベノミクスは破綻しているということになる。それでも、大手メディアは、相変わらず政府よりの報道を続けている。日本のGDP成長率が、国債の発行(借金)による公共投資による「つくられた成長」であるのに、それを指摘したメディアは少ない。 ■アベノミクスは繰り返される「悪夢」  このようなつくられた経済成長は、バブル崩壊後の1990年代とそっくりである。この時期、日本政府は、バブル崩壊後の景気後退を防ぐため、国債の大量発行による公共投資を続けた。これによって、たしかに景気は大きくは崩れなかった。   しかし、実質的な経済成長は起こらず、結局、「失われた10年」になってしまったのだ。  それなのに、2000年代になっても、小渕恵三内閣はまた同じ誤りを繰り返した。このときも公共投資の拡大で一時的に景気は回復したが、その後の森喜朗内閣で崩れ、小泉純一郎政権になって初めて公共投資は縮小された。  しかし、いままた、アベノミクスで同じことが起こっている。まるで、何度も繰り返される「悪夢」を見ているようだ。
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