Foomii(フーミー)

山田順の「週刊:未来地図」 ― 日本は、世界は、今後どうなっていくのでしょうか? 主に経済面から日々の出来事を最新情報を元に的確に分析し、未来を見据えます。

山田順(ジャーナリスト・作家)

山田順

日本人全員が「個人投資家」になる時代を考える(1)人気の「NISA」口座の落とし穴

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━       山田順のメールマガジン「週刊:未来地図」  No.063 2013/11/19      日本人全員が「個人投資家」になる時代を考える(1)      人気の「NISA」口座の落とし穴     ウェブで読む:http://foomii.com/00065/2013111909000018353     EPUBダウンロード:http://foomii.com/00065-19017.epub ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)がすごい人気を集めています。金融機関は大キャンペーンを展開して、顧客獲得に奔走しています。しかし、NISAには、大きな落とし穴があり、その導入の目的を考えると、私たち一般国民にとってはなんの利益もありません。まず、これがなぜなのかを検証します。  そして、来年から始まる重税時代に、どうやって個人資産を守っていけるかを考えます。なぜなら、本当にインフレになれば、預貯金(貯蓄)は無意味になるからです。インフレと増税のダブルパンチのなかでは、私たちは「貯蓄から投資」へと行動を変えるしかサバイバルできなくなるからです。  日本人全員が「個人投資家」になる時代の「投資」とはなんなのか? これを今回と次回(来週のメルマガ)の2回にわたって、考えます。  では、その1回目「人気の「NISA」口座の落とし穴」をお届けします。 [目次]────────────────────────────────── ■「証券優遇税制」廃止の代替措置として導入 ■ポイントはキャピタルゲインが非課税なこと ■「NISA」のメリットとデメリットを比較 ■投資商品が限定され、価格変動リスクに耐えられない ■「NISA」口座開設セミナーで語られていること ■使い勝手が悪いので投資初心者には向かない ■「NISA」口座をつくらせる本当の目的とは? ■日本のガラパゴス金融機関の収益の柱とは? ■なぜ「年齢制限」が設けられたのか? ■「情報の非対称」を利用して投資家を誘導 ■本当に必要なのは投資家の立場に立った「投資教育」 ────────────────────────────────────── ■「証券優遇税制」廃止の代替措置として導入  これまで日本では、「貯蓄から投資へ」と、国も金融機関も何度となくキャンペーンをはってきた。景気が低迷するなか、金融機関に眠ったままになっている国民の預貯金(約790兆円)を、金融市場に引っ張り出そうとしてきた。  そのため、「上場株式等の譲渡や配当に対する税金」(キャピタルゲイン課税)は、大幅に優遇されてきた。具体的には、従来20%(所得税15%+住民税5%)だった税率を、半分の10%(所得税7%+住民税3%)にしてきた。  この制度は、「証券優遇税制」として、2003年(平成15年)の税制改正によって導入され、今日までずっと続いてきた。ところが、安倍政権は、これを延長しないことを決めたため、来年(2014年)からは、ふたたび20%に戻ることになった。そこで、導入が決まったのが、「少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置」という長ったらしい法令で導入される「「NISA(ニーサ)」だ。  その内容は、後述するとして、すでに10月1日から、「NISA」の口座開設手続きが開始され、個人投資家が殺到している。「非課税、おトクですよ」とのかけ声につられ、すでに400万口座に上るNISA口座が、金融機関に開設されたという。  国税庁が、手続き開始後1週間で集計・発表したNISA口座数は、なんと約358万件である。これは、ものすごい数だ。 ■ポイントはキャピタルゲインが非課税なこと  では、「NISA」とはどんな制度なのか?  簡単言えば、この口座内での投資に関しては、キャピタルゲイン課税がゼロということ。「NISA」では、2014年の1月から、「毎年100万円まで」の非課税投資枠が設定される。そして、投資金額100万円分までの株式投資や投資信託投資で得られる値上がり益や配当金(分配金)が非課税となる。  つまり、前記したキャピタルゲイン課税は、現在は10.147%(復興税を加えている)だが、2014年からは通常20.315%になるが、「NISA」ではこれがゼロになるのだ。この課税ゼロ(非課税)が最大のポイントで、これを金融機関は大宣伝して、新規顧客を勧誘しているわけだ。  しかし、結論から書いてしまうと、非課税のメリットと言っても、簡単な話、株や投資信託では儲けないことには、この非課税のメリットは享受できない。つまり、キャピタルゲインに課税されないと言っても、ゲインがなければ課税もありえないわけだ。    では、以下に「NISA」の内容を、列記してみよう。 ・非課税対象……非課税口座内の少額上場株式等の配当、譲渡益 ・非課税投資額……毎年、新規投資額及び継続適用する上場株式等の時価の合計額で100万円 を上限(未使用枠は翌年以降繰越不可) ・非課税投資総額……最大500万円(100万円×5年間) ・口座開設期間……2014年(平成26年)1月1日から2023年(平成35年)12月31日までの
… … …(記事全文9,135文字)
  • バックナンバーを購入すると全文読むことができます。

    購入済みの読者はこちらからログインすると全文表示されます。

    ログインする
  • 価格:210円(税込)

    ひと月まとめて購入するとさらにお得です。

    価格:855円(税込)

    2013年11月分をまとめて購入する

今月発行済みのマガジン

ここ半年のバックナンバー

2024年のバックナンバー

2023年のバックナンバー

2022年のバックナンバー

2021年のバックナンバー

2020年のバックナンバー

2019年のバックナンバー

2018年のバックナンバー

2017年のバックナンバー

2016年のバックナンバー

2015年のバックナンバー

2014年のバックナンバー

2013年のバックナンバー

2012年のバックナンバー

このマガジンを読んでいる人はこんな本をチェックしています

月途中からのご利用について

月途中からサービス利用を開始された場合も、その月に配信されたウェブマガジンのすべての記事を読むことができます。2024年11月19日に利用を開始した場合、2024年11月1日~19日に配信されたウェブマガジンが届きます。

利用開始月(今月/来月)について

利用開始月を選択することができます。「今月」を選択した場合、月の途中でもすぐに利用を開始することができます。「来月」を選択した場合、2024年12月1日から利用を開始することができます。

お支払方法

クレジットカード、銀行振込、コンビニ決済、d払い、auかんたん決済、ソフトバンクまとめて支払いをご利用いただけます。

クレジットカードでの購読の場合、次のカードブランドが利用できます。

VISA Master JCB AMEX

キャリア決済での購読の場合、次のサービスが利用できます。

docomo au softbank

銀行振込での購読の場合、振込先(弊社口座)は以下の銀行になります。

ゆうちょ銀行 楽天銀行

解約について

クレジットカード決済によるご利用の場合、解約申請をされるまで、継続してサービスをご利用いただくことができます。ご利用は月単位となり、解約申請をした月の末日にて解約となります。解約申請は、マイページからお申し込みください。

銀行振込、コンビニ決済等の前払いによるご利用の場合、お申し込みいただいた利用期間の最終日をもって解約となります。利用期間を延長することにより、継続してサービスを利用することができます。

購読する