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山田順の「週刊:未来地図」 ― 日本は、世界は、今後どうなっていくのでしょうか? 主に経済面から日々の出来事を最新情報を元に的確に分析し、未来を見据えます。

山田順(ジャーナリスト・作家)

山田順

「脱原発」の自己矛盾。太陽光発電にあなたのお金が使われている!

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━       山田順のメールマガジン「週刊:未来地図」    No.063 2013/11/13 「脱原発」の自己矛盾。太陽光発電にあなたのお金が使われている!     ウェブで読む:http://foomii.com/00065/2013111309000018154     EPUBダウンロード:http://foomii.com/00065-18818.epub ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  このメルマガは毎週火曜日発行ですが、今回は昨日に続き発行します。というのは、昨日のテーマ、エネルギーコストの増大で日本が貿易赤字を続けている問題に深くかかわっているのが、次世代エネルギーの切り札とされる「太陽光発電」だからです。  すでに、補助金が出ているため、自宅にソーラーパネルを付けている方もいるかと思います。しかし、こうした補助金は税金であり、じつは一般国民が負担しているのです。そして、これがまた電気代を引き上げる原因になっています。 「脱原発」を促進すればするほど、家計は困窮し、日本は衰退を続けます。   なんというジレンマでしょうか? [目次]────────────────────────────────── ■国から補助金が出る「太陽光発電」 ■ソーラーパネル設置で10年間で約138万円おトク ■ニュースキャスターの辛坊治郎氏の指摘 ■太陽光発電先進国ドイツで起こったこと ■ドイツの教訓を無視している日本の「脱原発」 ■海外勢が7000億円も日本の代替エネルギーに投資 ■買い取り価格を下げ、買い取り量も制限を! ────────────────────────────────────── ■国から補助金が出る「太陽光発電」  現在、日本経済が陥っている莫大な貿易赤字の原因となっているのが、円安でエネルギー(石油、天然ガス)価格が上がり、そのうえ輸入量が増加したこと。つまり、原発が稼働していないことが、日本経済を苦しめているわけだ。  そこで、注目されるのが、代替エネルギー(alternative energy)。バイオマス、太陽熱利用、地熱発電、風力発電、太陽光発電などがこれに当たるが、この中で「切り札」と言えるのが、「太陽光発電」だ。  日本では、「代替エネルギー」のことを総称で「新エネルギー」と呼び、「新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法」(新エネルギー法)が制定されている。この法律に基づき、新エネルギーへの積極的な転換が図られている。  とくに、太陽光発電は、国から補助金が出る。  最近、ソーラーパネルを設置している家が多くなったり、住宅メーカーがソーラーパネル付き住宅を販売していたりするのも、みなこの補助金を狙ってのものだ。  福島原発事故で、電気代が上がっているので、ソーラーパネルはよく売れている。では、その補助金は、どのような仕組みになっているのだろうか? 
 ■ソーラーパネル設置で10年間で約138万円おトク   2012年7月に「再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度」がスタートした。この制度を利用し、家庭で自家発電をすると、余った電力を電力会社に売ることが可能になった。  たとえば、10キロワット未満の場合、電気の供給が開始されてから10年間(11年目以降は価格が変動)は、1キロワット時当たり42円(税込み)で、電力会社が買い取ってくれる(ただし、買い取り価格は年々引き下げられる)。  太陽光発電協会の試算によると、一般家庭用のソーラーパネル設備(容量4キロワット)を設置した場合、自家使用は2〜3割程で済むので、残りの7〜8割が売れることになる。すると、10年間で約138万円がトクできるという。    これは、次のような計算に基づいている。  たとえば、月の電気代が平均1万円の家庭の場合、約400キロワットの電力を消費している。ここに、前記したソーラーパネル設備(太陽光発電システム)を導入すると、年間発電量を約4000キロワットとなる。  そこで、350キロワット/月 の使用量に対して発電量(4000キロワット/年)の3割(1200キロワット/年)である100キロワット/月を自家消費にあてたと仮定すると、設置後の支払い電気代は約7300円/月となる。  このとき、売電額は、2013年度は1キロワットあたり38円なので、10万6400円(2800キロワット×38円)となり、ひと月当たりでは約8800円の売電収入が得られる。  とすると、月の収入は、売電収入8800円−電気代7300円=1500円となる。  そこで、10年間でどれくらい経済効果があるかを弾いてみると、売電収入により相殺された電気代を併せると、月に約1万1500円となり、10年間では約138万円となるわけだ。  もちろん、この計算には、ソーラーパネル設置の初期投資額は入っていない。そこで、前記した4キロワットの太陽光発電システムの値段はというと、だいたい200万円である。ところが、この設置には補助制度を設けている自治体も多いので、そこに住んでいれば、さらに安くてすむ。    たとえば、宮城県気仙沼市では、国と自治体を合わせると、約30万円の補助が受けられる。これなら、もし11年目以降も同じ価格で売れたと仮定すれば、13年目には初期費用の元が取れて、それ以降、毎年約13万円の収益が確保できることになる。

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