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山田順の「週刊:未来地図」 ― 日本は、世界は、今後どうなっていくのでしょうか? 主に経済面から日々の出来事を最新情報を元に的確に分析し、未来を見据えます。

山田順(ジャーナリスト・作家)

山田順

消費税増税より「国家戦略特区」アベノミクスの成否はこれにかかる!

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━       山田順のメールマガジン「週刊:未来地図」    No.056 2013/10/01 消費税増税より「国家戦略特区」アベノミクスの成否はこれにかかる!     ウェブで読む:http://foomii.com/00065/2013100109000017631     EPUBダウンロード:http://foomii.com/00065-18296.epub ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  今日、10月1日、来年からの消費税の増税が決まります。しかし、日本経済にとって本当に大事な問題は消費税ではなく、今後どれだけ規制緩和が進むのか? その象徴としての「国家戦略特区」が、どの程度実現するのか? です。  もし、これが中途半端に終われば、アベノミクスはかけ声倒れとなるでしょう。 [目次]────────────────────────────────── ■これまでの増税に関する議論、報道は空騒ぎ ■日本の実体経済を回復させるたった1つの方法 ■安倍首相のNY証券取引所での出色の演説 ■今後、強欲資本主義の日本でバブルが起こる ■プレゼンの出来映えより、中身が実現可能か ■ウォール街には暢気な投資家は少ない ■「世界で一番ビジネスのしやすい環境」を実現 ■海外の投資家の食指をそそる提案はなし ■何度やっても「日本は変わらない」に繰り返し ■「国家戦略特区」の構想の中身とは? ■「アジアヘッドクォーター特区」構想 ■特区では中国の方がはるかに上を行っている ■オフショアとなった上海自由貿易試験区 ■上海と東京を比較してどう思うか? ■アベノミクスは「買い」ではなく「売り」 ────────────────────────────────────── ■これまでの増税に関する議論、報道は空騒ぎ  今日までの報道によると、安倍首相は、予定通り、消費税率を2014年4月に5%から8%へ引き上げる方針について、10月1日(今日)に閣議決定する意向を固めたという。まず、午後5時からの閣議で決定し、その後、午後6時から記者会見を開き、正式に表明するという。  正直言って「なにをいまさら」と思う方もいるだろう。私もまったく同じだ。なぜなら、この増税は既定方針であり、景気がどうなろうと、世論がどうなろうと、やらなければならないからだ。なんといっても、決めたのは財務省であり、しかも国際公約なのだから、やめるわけにはいかない。  そのため、今日までいろいろな地ならしがされてきた。それを知っている人間にとって、今日まで識者の議論とメディアの報道は空騒ぎである。  また、この決定で今後、「増税したらどうなる」「増税が日本経済に与える影響」などの報道が続くだろうが、これもまた空騒ぎである。なぜなら、増税は一般国民の生活を圧迫するに決まっているし、また、日本経済は今後も衰退していくに決まっているからだ。 ■日本の実体経済を回復させるたった1つの方法  日本経済の衰退を止める方法は、このメルマガで何度も主張してきたように、まず、人口減を止めること。つまり、移民を受け入れて、それにともなう大胆な規制緩和を行なうこと。つまり、鎖国状態、ガラパゴス状態にある日本を開国させることに尽きる。  それ以外では、産業革命に匹敵する決定的なイノベーションが起こること。あるいは、日本で利用可能なエネルギー資源が発見されることぐらいしかない。しかし、この2つは、現状では期待薄だ。また、グローバル教育への転換も経済復活の原動力になるが、その成果が出るのは10年以上先の話になる。    とすれば、やはり、規制緩和を象徴する「国家戦略特区」が、もっとも大事だ。これが、大胆な内容で1日でも早く実現すること。アベノミクスの成否は、この1点にかかっている。  はたして、政府はこの「特区」に本気なのか? 本気なら、国民も投資家も、今後の日本に少しは期待していいだろう。  しかし、本気でないなら、異次元緩和が続こうが、五輪バブルが起ころうが、日本の実体経済は回復しない。 ■安倍首相のNY証券取引所での出色の演説  安倍首相は、この9月25日、NY証券取引所で演説を行なった。いわゆる「アベノミクスは買いだから、日本に投資してほしい」(Buy my Abenomics, Invest in Japan)という演説だ。この演説を聞く限り、国家戦略特区は本気モードと思える。  日本の首相でこれほどまでに魅力的なセールストークをした人間を、私は知らない。正直、あの演説には驚いた。もちろん、演説は天才的スピーチライターの谷口智彦氏(内閣審議官)が書いたものだ。谷口氏はアメリカ通だから、アメリカ人のツボを押さえており、それが、映画『ウォール街』の引用などにつながり、アメリカ人の心を捉えた。
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