━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 山田順のメールマガジン「週刊:未来地図」 No.044 2013/07/09 参議院選挙の結果がどうであれ、「世界最速で先進国から転落する」日本 ウェブで読む:http://foomii.com/00065/2013070909000016376 EPUBダウンロード:http://foomii.com/00065-17048.epub ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 21日投票の参議院選挙の選挙活動が始まりました。しかし、与党の自公が圧勝するという予想通りのことが起こりそうなので、このメルマガの読者の皆さんは、選挙について考えるだけ時間の無駄でしょう。 それより、選挙をいくらしもなぜ日本は改革されないのか? 今度の選挙結果の先になにがあるのか? そうしたことについて考えておくほうが先でしょう。 [目次]───────────────────────────────────── ■本当ならスルーしてしまいたい参議院選挙 ■重要課題を先送りしている各党のマニュフェスト ■日本が直面している3つの重要課題 ■10年前とまったく変わらないスローガン ■毎回「改革」が叫ばれるだけで改革されない ■内部留保260兆円を吐き出せという主張の「?」 ■内部留保は借金と差し引けばカラッポ? ■まったく生温い企業減税、投資が増えるわけがない ■現状で特区をつくれば、日本企業は消滅する ■3つの課題の解決策はあるのだろうか? ■企業の入れ替えがない、新陳代謝のない社会 ■2カ月連続で減り始めた外貨準備高 ───────────────────────────────────────── ■本当ならスルーしてしまいたい参議院選挙 梅雨明けと同時に参議院選挙(7月21日投票)に向けての各党の活動が始まった。連日、メディアは選挙の報道に多くの時間を割いている。 しかし、今回の選挙はじつにバカバカしい選挙である。話題としては、ネットによる選挙運動の解禁、アベノミクスをどう評価するかという2点にメディアの関心は集中しているが、結果は与党の自民•公明の圧勝ということが見えているからだ。 このメルマガは、選挙のような「いま」そのもののテーマを時事解説することを主眼としていない。できるかぎり、私たちの未来にかかわることを掘り下げていくことにしてきている。そこで私は、今回の選挙のことは、だいぶ前からスルーしようと思っていた。書いても意味がないと思っていた。 ところが、各党が発表したマニュフェスト、党首の発言を聞いて、考えが変わった。 ■重要課題を先送りしている各党のマニュフェスト なぜ、考えが変わったのか? それは、各党のマニュフェスト、党首声明が中身があまりに希薄なうえに大差がなく、日本がいま直面している問題にまったく触れていないからだ。これは日本の選挙では毎回同じなのだが、今回はとくにひどい。どの党も、「日本を改革して暮らしをよくする」ようなことを言っているが、そのために何をやるかというと、なんにもしないに等しいからだ。本来なら、すぐにでもやるべきことを全部「先送り」しているのだ。 消費税の増税をするかしないか? TPPに賛成か反対か? 原発を再稼働させるかさせないか? 憲法を改正するかしないか? こんなことは、いまの日本が直面している重要課題ではない。ところが、メディアがあたかも日本の大問題のように報道する。だから、各政党ともそれに条件反射したようなマニフェストを出してくるのだろう。 これでは、現在の世間のムード「とりあえずアベノミクスを続けてもらって様子を見るか」から、自公圧勝は変わらないだろう。つまり、日本は改革されないということになる。 ■日本が直面している3つの重要課題 では、日本がいま直面している重要課題とは、なんだろうか? それは、次の3点だ。朝日新聞7月7日付けのコラム『波間風間』で、編集委員の原真人氏が、次のように書いている。 「討論会(参議院記者クラブでの党首討論会)では、憲法や経済などをめぐって論戦があったが、最も大事な課題が抜け落ちていた。世界最速の超高齢化、先進国で最悪の財政、社会保障の悲観的な未来という未解決のままで、めども立っていない問題だ。テーマそのものが忘れ去られたように、議論は素通りだった」 繰り返すと、… … …(記事全文6,918文字)