━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 山田順のメールマガジン「週刊:未来地図」 No.043 2013/07/02 アジアで就活の時代。バンコクの日本人留学生はなぜ「脱日本」を? ウェブで読む:http://foomii.com/00065/2013070209000016109 EPUBダウンロード:http://foomii.com/00065-16782.epub ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 日本の若者は「内向き」とずっと言われてきました。しかし、それはものごとの片側だけの話。実際は「外向き」の若者たちも増えていて、若者は2極化しています。 ただ、外向きの若者の目指すところは、昔は欧米でしたが、いまは断然、新興アジアです。そこで今回は、タイのチュラルンコン大学の日本人留学生の話です。彼らは、なぜ日本を出て、タイを目指したのでしょうか? [目次]─────────────────────────────────── ■「内向き」「外向き」に2極化した若者たち ■「外向き」の若者たちは新興アジアを目指す ■チュラルンコン大学のタイ語集中講座 ■≪ケース1≫金子晋也君(27):将来は未定。タイは学生時代から好きな国。ただ、「どこにいるか」よりも「なにをするか」が大事 ■≪ケース2≫奥田君(28):旅行社の法人営業でトップになったが、年功序列の会社で働き続けるのが疑問に思えた ■≪ケース3≫紀伊さん(28):もともと海外で働くのが夢。インターナショナルスクールの仕事を見つけてタイに来た ■≪ケース4≫、小竹さん(24):こちらは意外と上下関係が厳しい階級社会。タイ語を身に付けたら、帰国して再就職を目指したい ■≪ケース5≫青木君(22):大学を休学してタイに。タイ人の友人と化粧品のネット販売を始めた。ただ、一度は就職したい ≪ケース6≫中村理浩君(24):タイは可能性がある国。しかし、現地採用は待遇が悪いので日本で就活を。本社は現地のことを知らない ■企業が出て行けば、おカネも出て行き、人も出て行く ────────────────────────────────────── ■「内向き」「外向き」に2極化した若者たち 日本の若者は「内向き」と、ここ数年ずっと言われてきた。 たしかに欧米への留学生は減っている。ハーバード大学のアンダーグラデュエイトに、一時期日本人留学生が1人もいなくなったことがニュースになった。実際、ハーバードに限らず、アメリカのどの大学でも、日本人留学生の数が減っている。 また、最近は違ってきたが、つい先日までは海外勤務を嫌がる若手社員のことが、メディアに面白おかしく紹介された。半径3メートル以内しか興味がない若者たちのことも取り上げられた。 たしかに、「ジモティ」と呼ばれる地元だけで暮らそうとする若者も増えている。しかし、彼らだけがいまの日本の若者ではない。 「内向き」化する若者たちがいる一方で、日本を出て行く若者も増えているのだ。つまり、いまの若者たちは「内向き」と「外向き」に2極化しているのである。 日本から若者が流出している――。そう聞くと、実感が湧かない人も多いかもしれない。留学生数が減っている、海外勤務を嫌う社員も増えているのに、本当にそうなのか?と、疑う人もいる。 ■「外向き」の若者たちは新興アジアを目指す そこで、総務省の人口推計(2013年2月公表)の年別データで、30代後半までの日本人の動向を見ると、2011年の10月1日現在で、日本における日本人(外国人を除く)の入国者数(79万8792人)から出国者数(82万6503人)を引いた「社会増減」は、2万7711人のマイナスとなっている。 これは、単純に海外から日本に帰国する日本人よりも、日本から海外へ出て行く日本人のほうが多いことを現わしている。この状態を「出国超過」言い、単月ベースで見ると、2012年以降もずっとこの傾向が続いている。 ちなみに「出国」と見なされる基準は、海外に3カ月以上滞在した場合である。 それでは、こうした「外向き」の若い世代はどこを目指しているのだろうか? 断然、新興アジアである。 ひと昔前は、ほとんどが欧米志向だった。しかし、この2、3年でガラリと変わり、発展する新興アジアに向かう若者が増えているのだ。 今回は、そういう若者のナマの声を、タイのバンコクからお伝えしたい。 ■チュラルンコン大学のタイ語集中講座 バンコクにあるチュラルンコン大学のタイ語集中講座(インテンシブタイ)には、現在、日本からやってきた若者たちが数多く在籍している。… … …(記事全文11,058文字)