━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 山田順のメールマガジン「週刊:未来地図」 No.038 2013/05/28 アベノミクス後に備えるなら資産を「国家」と切り離すしかない ウェブで読む:http://foomii.com/00065/2013052809000015686 EPUBダウンロード:http://foomii.com/00065-16361.epub ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ メルマガ読者のお一人から、「国民個人として破綻前夜の過ごし方のようなものが読みたい」という要望が寄せられました。そこで、今回は、日本が財政破綻したときに備える「資産防衛」について、私なりの考えをまとめてみました。 [目次]────────────────────────────────── ■「アベノミクス後が怖い」という母親 ■サドンデスかスローデスか未来はわからない ■危機がやって来たら国家は「泥棒」に変わる ■資産フライトで海外口座を開きドル預金 ■未来予測を一つに絞り込んだ橘シナリオ ■株の空売りや外貨預金も国家の監督下にある ■ネット証券を通しての海外投資でヘッジできるか? ■「有事の金(ゴールド)」と言われるが没収も! ■クライシス時の資産防衛に関するまとめ ■国家が行き詰ったとき国民が取るべき選択肢 ■次の財政出動があったらアベノミクスは失敗 ■「国家破産」以後の世界に希望が戻ってくる ────────────────────────────────────── ■「アベノミクス後が怖い」という母親 このメルマガの読者の一人から、次のようなリクエストをいただいた。そこで、今回は、このリクエストに応えるかたちで、近未来の私たちについて考えてみたい。 では、そのメールをまず紹介する。 《毎回読み応えのあるメルマガ、ありがとうございます。私は個人的には将来大きく円安に振れた場合の国民の生活や、その対応策として有効なリスクヘッジについてフォーカスしたようなものが読みたいと思っております。 特に日本人の貯蓄率が高いという現状はそれだけ国に騙される結果となる可能性があるということも知る必要があると思います。すでに知っている方は多いと思いますが、帰省した時に田舎の経済に疎い母親までもアベノミクスの後が怖いと言っておりました。 国民個人として破綻前夜の過ごし方のようなものが読みたいです。》 ■サドンデスかスローデスか未来はわからない このテーマは、じつは、私自身がもっとも知りたいことである。あと数年後の近未来のことが本当にわかるなら、それに備えていまから準備しておかなければならないからだ。 アベノミクスが成功する(つまり景気が回復して、私たちの暮らしがよくなる)確率は低い。成功するより失速して、日本経済がどん底に落ちる確率のほうが高い。 つまり、国家財政が破綻状態になり、そのツケが国民を苦しめる。 そのシナリオがどうなるかは、じつは私もわからない。突然破綻してしまうサドンデスもあるし、ゆるやかに落ちていくスローデスもありえる。 世界一の投資家ウォーレン・バフェット氏の哲学は「未来はわからない」である。 つまり、未来のシナリオを予測してどちらかに賭けるようなことはしないということだ。サドンデスであろうとスローデスであろうと、危機(クライシス)が訪れるのに変わりがないのだから、いまからなにをしておくべきかを考えるしかない。もちろん、クライシスが来なければ、それに超したことはない。 しかし、備えておかなければ対処はできない。 では、クライシスが来ることを前提としたら、なにを真っ先に考えなければならないだろうか? ■危機がやって来たら国家は「泥棒」に変わる 財政状況が悪化して手に負えなくなったとき、国家がなにをするかは過去の歴史が証明している。これは、独裁国家であろうと、旧ソ連のような共産主義国家、いちおう民主主義国家とされている日本であろうと同じだ。なぜなら、この状態になったときの国家は、国家というより「借金が払えない債務者」と言ったほうがいいからだ。 では、借金が払えなくなった債務者はなにをするだろうか? 債権者が持っている債権を踏み倒すか、あるいは、誰かの資産を強奪するかどちらかだろう。つまり、国家はこの状態になると、「泥棒」と同じになるわけだ。とすれば、私たちは国家とできる限り距離を置くしかない。資産をできる限り、国家から遠ざけるしかない。… … …(記事全文9,318文字)