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山田順の「週刊:未来地図」 ― 日本は、世界は、今後どうなっていくのでしょうか? 主に経済面から日々の出来事を最新情報を元に的確に分析し、未来を見据えます。

山田順(ジャーナリスト・作家)

山田順

「第三の矢」で思い出す小泉時代の「21世紀ビジョン」。結局、希望的観測の羅列に!

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━          山田順の「週刊:未来地図」    No.036 2013/05/14      「第三の矢」で思い出す小泉時代の「21世紀ビジョン」            結局、希望的観測の羅列に! ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 5月も半ばになり、いよいよアベノミクスの「第三の矢」である成長戦略策定の動きが本格化しています。しかし、これまでの動向を見ていると、どうやら画期的な戦略が出てくる様子はないようです。そこで、思い出すのが小泉政権時代の「21世紀ビジョン」。その中身は、今回の「第三の矢」と比べてみると、ほとんど同じなのです。 [目次] ────────────────────────────────── ■「第三の矢」を話し合う3つの会議とその構成 ■会議が3つあっても話し合うことは同じ内容 ■産業競争力会議で出た「第三の矢」成長戦略の中身 ■聞こえてくるのは議論の中身より不協和音 ■8年前に提言された『日本21世紀ビジョン』 ■クールジャパン戦略で生産性の向上を図る ■日本では痛みが伴うことはすべて「先送り」にされる ────────────────────────────────────── ■「第三の矢」を話し合う3つの会議とその構成  アベノミクスの戦略を策定するための会議は3つある。経済財政諮問会議(議長:安倍晋三首相)、産業競争力会議(議長:安倍晋三首相)、規制改革会議(議長:岡素之住友商事相談役)の3つだ。  以下が、その3つの会議である。 《アベノミクスを支える3つの官邸政策会議》  ◇経済財政諮問会議  議長:安倍晋三首相  構成員:主要閣僚、日銀総裁、佐々木則夫・東芝社長、      伊藤元重・東大教授ら民間議員4人  設置根拠:内閣府設置法  事務局:内閣府の経済財政部局  ◇産業競争力会議  議長:安倍晋三首相  構成員:長谷川閑史・経済同友会代表幹事、竹中平蔵・慶大教授ら      民間議員10人  設置根拠:日本経済再生本部決定  事務局:内閣官房の日本経済再生総合事務局  ◇規制改革会議  議長:岡素之・住友商事相談役  構成員:大田弘子・政策研究大学院大教授、鶴光太郎・慶大教授ら      民間委員15人  設置根拠:内閣府本府組織令  事務局:内閣府の経済財政部局  このうち、経済財政諮問会議が、経済財政に関するあらゆる重要課題を扱うことになっており、まさに安倍内閣の司令塔と言っていい。ところが、安倍首相は、金融政策や財政規律などは諮問会議で討議するが、成長戦略は別に討議することにして、産業競争力会議を新設した。この会議は、経済産業官僚が事務局の中核を占めるため、官僚主導の会議と言っていい。   そしてさらに、民間から岡素之・住友商事相談役を議長に迎えて、成長戦略の「一丁目一番地」 と宣言した規制改革を専門に扱う規制改革会議もつくった。  こうして、現在、安倍内閣には3つのアベノミクス推進する会議が併存することになった。この3つの会議がうまくかみ合えば、「第三の矢」はできあがるが、現状ではかみ合っているとは言い難い。 ■会議が3つあっても話し合うことは同じ内容
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