━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 山田順の「週刊:未来地図」 No.025 2013/02/26 バブルには必ずストーリーがある。日本の不動産バブルの正体 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 安倍バブルは株価ばかりか、不動産価格も押し上げています。つまり、あの「1980年代バブル」がまた再来するかもしれないのです。 そこで、今回は、日本独特の不動産バブルついて振り返ってまとめてみます。 [目次] ────────────────────────────────── ■バブルを知らない若い世代がバブルを歓迎する ■バブルが大きければ大きいほど落ち込みも大きい ■安倍バブル発生前に不動産は上昇に転じていた ■「都市の中心部から買え」という鉄則 ■かつてバブルの対象はなんでもよかった ■近代のバブルは株価の高騰で起こっている ■日本では土地バブルが何回も起こっている ■日本独特の「土地神話」(土地は永遠に上がる) ■なぜ「1980年代バブル」は起こったのか? ■日本の資本主義は「土地本位制」に基づいている ■海外の物件を買い漁ったジャパンマネー ■バブルを誘導したのは日本の土地税制だった ■売るより持ち続けていた方がはるかにトク ■「地価は再び上がる」「下がったままのはずがない」 ■不動産価格・住宅価格は人口動態の影響を受ける ■バブルには必ずストーリーがある ────────────────────────────────────── ■バブルを知らない若い世代がバブルを歓迎する 安倍バブルが起こって以来、株価とともに不動産も値上がりしている。都内のマンション販売業者によると、「一時引き合いがなかった優良中古物件に引き合いがくるようになった」といい、新築住宅のモデルルームにも「消費税増税前に購入したい」という希望者が押しかけているという。 さらに、外資系ファンドも都内の有力不動産投資を再開し、一時遠ざかっていた中国人富裕層も動き出したという。 今年初め、『週刊現代』が「安倍バブル:株も土地もこんなに上がるぞ!日本の経済が変わる足音」とあおって以来、いまや全マスコミが、安倍バブルを歓迎している。 日本のバブル経済は1980年代半ばから1990年にかけてだから、すでに四半世紀がたっている。ということは、あのバブルを覚えているのは40代以上の世代だから、バブルを知らない若い世代がバブルを歓迎するのは無理もない。 マスコミの現場にいる若手記者は、これまで日本経済がダメだという記事ばかり書いてきた。だから、今回は、そのうっ憤を晴らすいい機会と、バブル便乗記事を書いている。 ■バブルが大きければ大きいほど落ち込みも大きい この「失われた20年」の間に、私たち日本人は多くのものを失った。80年代のバブル期は、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」ともてはやされた時代だったから、日本中に活気があふれていた。 それがいまやどうだろう。日本の生命線である製造業は韓国や中国に負け、会社は崩壊し、同僚や自分があっけなくリストラされてしまう。東日本大震災の後遺症はいまだに続き、尖閣列島問題では中国の攻勢になす術もない。 いったい、この国はどうなってしまうのか? そんな不安にさいなまれるなか、突然やってきたのが、安倍バブルである。国民が歓迎しないわけがない。 しかし、はっきり指摘しておくが、これはバブルだ。どこまでいってもバブルで、実体はともなっていない。だから、弾けた後の落ち込みは、相当深刻なものになる。80年代バブルの不良債権の処理だけでも20年近くを要したのだから、バブルが大きければ大きいほど落ち込みはさらに大きくなるだろう。 1980年代バブルは、金融機関、金融システムを崩壊させた。今回のバブルは、国家財政を崩壊させてしまうかもしれないのだ。 ■安倍バブル発生前に不動産は上昇に転じていた それでは、不動産の話に戻って、バブルとはなにか考えてみよう。… … …(記事全文9,341文字)