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渡邉哲也の今世界で何が起きているのか

渡邉哲也(作家・経済評論家)

渡邉哲也

第1927回 バンブーウォールと韓国輸出管理
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ウェブで読む(推奨):https://foomii.com/00049/2019080908032957293 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━     渡邉哲也の今世界で何が起きているのか     2019/08/09      第1927回 バンブーウォールと韓国輸出管理  ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★イランをめぐる対立が深まっています。各濃縮を進め核開発を行っているイラン、イランが核を保有すればアラブと中東の勢力図が大きく変わることになります。また、これはアラブと中東に石油を依存する日本にとっても大きな脅威になります。そして、現在の危機はホルムズ海峡、イランはホルムズ海峡を封鎖すると周辺国を脅してきました。 英米は、これを阻止するために部隊を編成、ホルムズ海峡の安全な航行を保障したいとしているわけです。そして、同盟国に対して、有志軍への参加を求めている。  また、同時に米国はイランへの経済制裁を本格化させ、世界に対して、イランとの石油取引を禁止しようとしています。これに従わないのが、シリアと中国、中国は米国の禁輸処置以降も石油の輸入を継続し、イランを支えている構造です。米国はこれを批判しており、いつセカンダリーボイコットを行うかがカギといえます。 ファーウェイ問題も、イランへの無線技術の移転がCFO逮捕のきっかけであり、これも確証が取れれば金融制裁の対象にできるわけです。 米国はカードをちらつかせ中国に対処を求めていますが、中国がこれに応じる気配はなく、ある意味、時間軸の問題といえるのでしょう。  また、ベネズエラ問題でも同様の対立が深まっており、香港問題も時間軸的に連動している。南シナ海と台湾問題もあり、どこかが発火すればすべてに連動する構造です。そして、これが火を噴いたとき、金融制裁を含めた竹のカーテン(バンブーウォール)が完成するといえます。 ■トランプ氏、マクロン仏大統領批判 「イランに曖昧なシグナル」 https://jp.reuters.com/article/iran-nuclear-trump-idJPKCN1UY2M6?il=0 ■米、中東を航行する商業船舶に航行計画の事前提出を指示 https://jp.reuters.com/article/mideast-iran-tanker-us-idJPKCN1UY19W ■ペルシャ湾外へ自衛隊派遣を検討 https://jp.reuters.com/article/idJP2019080801002004?il=0 ■中国、7月もイラン産原油の輸入継続=データ会社 https://jp.reuters.com/article/china-iran-oil-idJPL4N2542T9?il=0 ■米国のベネズエラ資産凍結、中国が大規模な内政干渉と批判 https://jp.reuters.com/article/venezuela-politics-china-idJPL4N2541RQ?il=0 ■中国、香港の「暴力的な分離主義者」巡り米国に抗議 https://jp.reuters.com/article/hongkong-protests-china-idJPL4N2542M1?il=0 ■再送-米、香港のデモ巡る報道受け中国は「暴力的な政権」と批判 https://jp.reuters.com/article/idJPL4N25466W?il=0 ★韓国への輸出管理 詳細が出ると同時に、一部輸出が許可されました。今回管理対象になったのは、リスト規制品目約240品目であり、武器転用の可能性が高い物質です。当然、ここに問題となっている三品目が含まれています。  そのうえで、経産省は韓国向け『フォトレジスト』に対して、許可を出しました。フォトレジストに関しては、毒ガス製造や核濃縮に使われるフッ化水素等に比べ軍事転用リスクが低く、保存期間も短いため、これを許可したものと思われます。しかし、フォトレジストだけが手に入っても半導体工場は安定した稼働ができません。  また、サムスンの中国工場向けのフッ化水素等の輸出許可も出しました。韓国は中国工場向けのフッ化水素等を韓国から横流ししていたといわれています。このため、中国工場向け輸出に関しては輸入実績がない又は少ないために齟齬が生じないのだと思います。  逆に韓国向けは輸出量が合わないので、どうするかは経産省次第ということになるのでしょう。そして、このための協議を求めている構造ですが、その前提には7月12日の説明会での嘘の公表の訂正をする必要があるとしているわけです。  今回の発表により、日本側の言い分である『輸出管理の強化』でしかないという主張を裏付けるとともに、韓国側の制裁であるという意見を一蹴し、同時に韓国の生殺与奪権を日本が持っていることを暗に世界に知らしめたのだと思います。 ■韓国への輸出管理厳格化後 初の輸出許可 経産省 NHK https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190808/k10012027401000.html 『今回の許可について、世耕大臣は「恣意的(しいてき)な運用はせずに、外為法の規定で厳格な審査に基づいて許可を出した。そのことを示したものだ」と述べました。そのうえで「韓国政府から、今回の措置があたかも禁輸措置であるとの不当な批判が行われていることを受けて、例外的に公表した。あくまで貿易管理上の措置であることを韓国側もよく理解してほしい」と述べました。 また、輸出管理を厳しくした理由として韓国側の輸出管理体制が不十分だとしている点について「政策対話を行わなければいけないが、7月12日の説明会を一方的に異なった内容を韓国側が公表しているので、まずこの訂正が行われないかぎり、局長級の政策対話を行えない。まずは韓国側にアクションを求めたい」と述べました。』 ■韓国向け半導体材料輸出、1件許可 政府、管理対象の拡大検討 サンケイ https://www.sankei.com/politics/news/190808/plt1908080005-n1.html ■サムスン電子の中国工場向けフッ化水素 日本が輸出許可=規制強化後初 聯合 https://jp.yna.co.kr/view/AJP20190808001400882 ■BRIEF-韓国、日本の「ホワイト国」除外を見合わせ =産業通商資源省高官 https://jp.reuters.com/article/idJPT9N1XP021?il=0 ■UPDATE 1-伊サルビーニ副首相、総選挙を要求 「連立政権は崩壊」 https://jp.reuters.com/article/idJPL4N2544WX?il=0 ■ドイツ、気候変動対策で赤字国債発行も 財政均衡断念か https://jp.reuters.com/article/germany-debt-idJPKCN1UY283?il=0 ■顔認証巡るフェイスブック集団訴訟、米控訴裁が棄却請求認めず https://jp.reuters.com/article/facebook-privacy-lawsuit-idJPKCN1UY2J7 ■ロシア規制当局、アップルを調査 独占的地位乱用の疑いで https://jp.reuters.com/article/apple-russia-idJPKCN1UY29F?il=0 ■トランプ米大統領、ドル高に不満表明 FRBを改めて批判 https://jp.reuters.com/article/usa-trump-fed-idJPKCN1UY26Z ■温暖化、穀物価格最大23%上昇 https://jp.reuters.com/article/idJP2019080801002003?il=0 ─────────────────昨日の市況──────────────── ■東京マーケット・サマリー(8日) https://jp.reuters.com/article/tokyo-summary-08-idJPKCN1UY11Q?il=0 ■アジア株式市場サマリー:引け(8日) https://jp.reuters.com/article/idJPL4N2542MJ?il=0 ■欧州市場サマリー(8日) https://jp.reuters.com/article/idJPL4N2544TC?il=0 ■UPDATE 1-NY市場サマリー(8日) https://jp.reuters.com/article/ny-markets-summary-idJPL4N25461Q 『出展 記載なきものロイター Bブルームバーグ』 ────────────────────────────────────── 本メールマガジンに対するご意見、ご感想は、本メールアドレス宛に返信を お願いいたします。 ────────────────────────────────────── ■ 有料メルマガの購読や課金に関するお問い合わせはこちら   ⇒ info@foomii.com ■ 購読アドレスの変更、配信停止はこちら   ⇒ https://foomii.com/mypage/ ──────────────────────────────────────            著者:渡邉哲也(作家・経済評論家)         ホームページ:http://www.watanabetetsuya.info/          Twitter:http://twitter.com/daitojimari    メールアドレス:info@watanabetetsuya.info ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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