ウェブで読む(推奨):https://foomii.com/00049/2019070407371855950 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 渡邉哲也の今世界で何が起きているのか 2019/07/04 第1902回 想定シナリオ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★香港デモ 英国が中国に対して、一国二制度の維持を求め、中国は英国を批判しました。英国の香港返還 返還条件は一国二制度の50年間の維持であり、現状、守られていない状態が続いています。2014年、英国議会は、香港の一国二制度が維持できているかどうかを調査する調査団を派遣しようとしましたが、中国がこれを拒否し、議員団の入国を認めませんでした。この時の政権はパンダハガーといわれるキャメロン、オズボーン政権であったため、これは大きな政治案件にはなりませんでした。 しかし、ブレグジットと米国の対中方針転換によりこの環境は大きく変わりました。ブレグジットにより欧州大陸を失うことになった英国は、米国との特別な関係を重視する政策に転換し、本来の姿である海洋国家としての戦略に転換したわけです。大英連邦諸国との連携を強化し、アジアの拠点であった香港を再び手に入れる必要性が生まれたわけです。 これまで、英米と中国の政治的国境は台湾でした。中国は台湾を何としてでも手に入れたがっていたわけです。ここで用いられた便法が『一国二制度』、しかし、香港の問題に火が付いたことで一国二制度のウソが表面化したわけです。ここ数年、米国は台湾維持のために台湾旅行法やアジア再保証イニシアチブ法案などを通過させ、台湾の独立を促す政策をとってきました。そして、台湾民進党は米国との連携を強める政策をとっています。マルコルビオやボルトンは、台湾蔡英文総統に米国での議会演説を求め、蔡氏の公式な米国訪問を要請しています。 これに対して、蔡英文総統は米国の求めに応じ、米国を経由しての中南米公式訪問を行うことにしたわけです。台湾総統の公式訪米は、台湾断交後初ともいえるものであり、台湾と米国の連携を象徴するものになります。また、これにより、トランプなど米国高官が正式外交として、台湾を訪問する理由もできることになるわけです。法律的には昨年2月の台湾旅行法で米国の高官が台湾を公式訪問できることになっています。 このような状況の中で、今回の香港デモが起きたわけです。米国が台湾独立を認め、同盟国としての地位を与える。英国が香港の一国二制度の完全実施を求め、国際監視団などの派遣を通じ、中国の影響を排除してゆき、最終的には住民投票による独立を画策する。英国は瀬取りの監視と北朝鮮問題を理由に、日本との連携の上での東シナ海への戦艦派遣を決めており、日本と事実上の軍事同盟を構築している。 当然、この絵が見えている中国は巻き返しを図ろうと必死に抵抗するでしょう。また、一帯一路による札びら外交により、他国を味方につけようとすると思います。しかし、これは中国のバブルによる膨張が生み出した力でしかなく、中国があがけばあがくほど、旧西側諸国の中国離れが本格化する可能性が高いでしょう。中国の金融は香港とドルに支えられている側面が強く、これを失えば対外投資ができなくなるわけです。また、国内の膨れ上がったバブルも負の資産としてのしかかる可能性が高く、一部資本主義を導入している現在の金融構造では、これを乗り越えられない可能性も高い。米国はこれをわかってインド太平洋ファンドを作り、中国の対外投資を安く買いたたき、再び米国の影響下に戻そうとしている。 過去の著作などでの想定シナリオの一つではありましたが、同時に、非常に可能性が低いとしてきました。しかし、このシナリオの実現可能性が大きく上がっています。 ■香港を支持、「一国二制度」揺らいではならない=英前外相 https://jp.reuters.com/article/interview-johnson-idJPKCN1TY2E7?il=0 ■中国大使「英は香港に手出しするな」、一部政治家らに植民地の発想 https://jp.reuters.com/article/idJPKCN1TY2R4 ■アングル:中国、香港締め付け強化か デモ隊議会突入を強く非難 https://jp.reuters.com/article/hongkong-china-idJPKCN1TY0AE?il=0 ■米独、国連安保理で新疆問題巡り中国批判=外交筋 https://jp.reuters.com/article/china-usa-rights-idJPKCN1TY0FR?il=0 ■米国防総省、中国の南シナ海でのミサイル発射実験を「憂慮」 https://jp.reuters.com/article/pentagon-china-missile-idJPKCN1TY0B0?il=0 ■米中通商交渉継続へ、数週間中に直接協議=NEC委員長 https://jp.reuters.com/article/usa-trade-china-kudlow-idJPKCN1TY2QW ■米株主要指数が最高値更新、利下げ期待で https://jp.reuters.com/article/ny-stx-us-idJPKCN1TY2LN?il=0 ■ドイツ銀、事業再編費に最大50億ユーロの可能性=関係筋 https://jp.reuters.com/article/deutsche-bank-strategy-idJPL4N24433K?il=0 ■仏大統領、EUのさらなる拡大に反対 意思決改革必要と主張 https://jp.reuters.com/article/eu-france-idJPKCN1TY15Z?il=0 ■米、中国や欧州の為替操作に対抗すべき=トランプ氏 https://jp.reuters.com/article/usa-trump-fed-idJPKCN1TY26E?il=0 ■トランプ氏、市民権質問追加「断念せず」 商務長官と食い違い https://jp.reuters.com/article/usa-census-idJPKCN1TY2E1?il=0 ■フランス捜査当局、ルノー本社捜索 https://jp.reuters.com/article/idJP2019070301002206?il=0 ■私戦予備・陰謀容疑5人書類送検 https://jp.reuters.com/article/idJP2019070301001499?il=0 ■ソフトバンクとKDDI、5G基地局整備で提携 https://jp.reuters.com/article/softbank-kddi-5g-idJPKCN1TY0WF?il=0 ─────────────────昨日の市況──────────────── ■東京マーケット・サマリー(3日) https://jp.reuters.com/article/tokyo-markets-3-idJPKCN1TY14E?il=0 ■アジア株式市場サマリー:引け(3日) https://jp.reuters.com/article/idJPL4N2441X0?il=0 ■欧州市場サマリー(3日) https://jp.reuters.com/article/idJPL4N2443OD?il=0 ■NY市場サマリー(3日) https://jp.reuters.com/article/ny-markets-summary-idJPL4N2441C8 『出典 記載なきものロイター Bブルームバーグ』 ────────────────────────────────────── 本メールマガジンに対するご意見、ご感想は、本メールアドレス宛に返信を お願いいたします。 ────────────────────────────────────── ■ 有料メルマガの購読や課金に関するお問い合わせはこちら ⇒ info@foomii.com ■ 購読アドレスの変更、配信停止はこちら ⇒ https://foomii.com/mypage/ ────────────────────────────────────── 著者:渡邉哲也(作家・経済評論家) ホームページ:http://www.watanabetetsuya.info/ Twitter:http://twitter.com/daitojimari メールアドレス:info@watanabetetsuya.info ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
渡邉哲也の今世界で何が起きているのか
渡邉哲也(作家・経済評論家)