ギリシャ救済に対する複数の厳しい意見が報道され、ギリシャ救済に暗雲が立ち 込めている。頼みの綱はドイツとなりギリシャとドイツの首脳が会談を行ったが 具体的な対応策に関しては発表されなかった。 また、ギリシャ危機に伴い銀行間市場の金融麻痺が悪化、市場で資金調達でき ない銀行が増加している。特にフランス系メガバンクに対する信用不安が広がっ ており、一部銀行はドルの調達が困難な状況に陥っている。 このような銀行はECBによる資金供給に一存する形となっている。 そして、ギリシャのみならず、債務規模が大きいイタリアの資金調達が難しく なっており、中国に国債購入を依頼したという報道が成されている。 また、格付け機関2社がスペインの格下げに言及をはじめており、スペインが格下 げされると、ギリシャと連動する形で危機が拡大する事も考えられる。 すでに、金融危機は借り手であるギリシャだけでなく、貸し手である銀行にも 波及しており、これが信用不安を悪化させる形になっている。2008年7月、国際会 計基準は、満期目的債権の時価評価を放棄した。この結果、欧州系銀行の多くは 債権の評価損を計上せず抱え込んでいる形となっている。万が一、大型のデフォ ルトが発生すると、この評価損が一気に表面化すると言われており、米国など他 の地域の金融機関が欧州系銀行に対する貸し出しを控えている。… … …(記事全文4,221文字)
渡邉哲也の今世界で何が起きているのか
渡邉哲也(作家・経済評論家)