ギリシャの信用危機が貸し手に波及、複数のフランスの巨大銀行の格付けが引き下げら れることになった。 すでに市場では、フランスの銀行のドル調達がうまくいっていない状況となっていたが、 格下げによりこれが確認される事態に、それに対応する形でヨーロッパ中央銀行はドルス ワップを利用し、銀行にドルを直接供給するオペレーションを開始した。 また、欧州中央銀行はデフォルト予備軍と見られているイタリアの国債も購入、リスク 回避の動きを強めている。 そして、中国の欧州危機への懸念と国際協調発言により、中国が欧州のソブリン債を購 入するのではないかという期待感が高まり、それが欧州の市況を改善させる結果に しかし、これは明確な根拠がない期待感による動きであり、今後の中国の動向次第では 逆転する可能性もある。 全体的に見れば、銀行の危機は強まっているものの、最後の貸し手である欧州中央銀行 と国際社会が救うだろうという期待感で市場は動いている。 ある意味では、ギリシャの救済からギリシャ破綻後を見越した動きに変化しつつあると… … …(記事全文4,550文字)
渡邉哲也の今世界で何が起きているのか
渡邉哲也(作家・経済評論家)