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渡邉哲也の今世界で何が起きているのか

渡邉哲也(作家・経済評論家)

渡邉哲也

臨時号 10月1日暴力団排除条例全国施行で何が変わるのか

この度はご購読ありがとうございます。  当メルマガは、前日の市場での出来事を翌日の市場開始前にお送りする月から 金曜日版と大きな出来事が起きた時の臨時版、そして、月一回程度の総合版で構 成されています。 今回はご購読者の皆様のために臨時版として、紳助引退問題の根底にある暴力団 排除条例について解説させて頂きます。 ■暴力団排除の世界的な動き  10月1日 暴力団排除条例が全国で施行される。これにより2001年からの世界の 流れであったマネロン対策が徹底されることになり、日本の社会からも闇経済の 排除が進むことになる。  実は、今回の暴力団排除の動きは2001年から継続している国際協調の一貫であ り、日本独自のものというわけではない。米国は911事件を受けてテロとの戦いを 強化するという方針を打ち出した。その根幹となる法律が「米国愛国者法(反テ ロ法)」http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/legis/214/21401.pdf http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/legis/215/21501.pdf であり、こ の法律は資金の流れを止めることでテロ組織を弱体化させる仕組みとなっている 。 ■仕組み SDNリスト(制裁対象を記載したリスト)米国財務省が公表するSDN リストに掲載されている人物や企業団体などの口座開設を禁じ、銀行取引を禁 じる。これを守らない金融期間は米国の金融期間とのドル取引ができなくなる 。 本来、米国愛国者法は米国の法律であり、他国に影響を与えることはでき ない。しかし、米国の銀行と取引できなくなると、他国の金融機関はドル決済 が出来なくなり、事実上、国際金融業務から排除される。それは銀行にとって 死を意味することになる。 そのため、世界が連携し、この制裁が進むことに なる。 ■時系列もともと、サミットやG7において国際的なマネーロンダリング対策が 考慮されていた。グローバル化が進むことで、マネロンは世界的規模となり、 一国だけでは対処できなくなってきたからである。 そして、2000年2月日本に おいても金融機関を監視する金融庁内にFIUが作られ、銀行口座の本人確認厳格 化など規制が始まることになる。 2001年9月911事件により、米国が愛国者法 などテロ支援団体に対する厳しい規制処置を発表し、この動きを加速させるこ とになった。 2003年には、G7の下部組織であるFATFが「40の勧告」 http://www.npa.go.jp/sosikihanzai/jafic/kokusai/40.pdf を出し、それに 日本も従うことになった。 金融庁は金融機関に対しSDNリストや暴力団関係者 との照合システムの整備を命じ、金融機関はそれに応じる形でシステム整備が 進んでいった。 そして、2007年FIUは、「犯罪による収益の移転防止に関する 法律」http://t.co/h45JsR4 成立と共に金融庁から警察庁に移管され、警察に よる取り締まり強化が量られることになっていった。また、警察と地方自治体 の連携システムも構築され、公営住宅や生活保護からの暴力団排除が進むこと になった。また、2010年の証券口座の電子化とともに、証券取引からも暴力団 関係者の排除が徹底されることになったのだ。 そして、暴力団排除を最終決定した国際声明■FATF(金融活動作業部会)声明 平 成23年7月8日 財務省 http://t.co/IwAk7Yu が決定し、米国はSDNリストに暴力 団及びヤクザを指定した。 この結果、暴力団と取引している銀行は米国との取 引ができなくなる可能性が生まれ、暴力団関係者及び取引企業は銀行取引できな くなる可能性も出てきたのであった。  現在のところ、SDNリストには「暴力団及びヤクザ」という総称が記載されてい るに過ぎない。しかし、これが個別の名前となった場合、対象者と取引している 個人や企業は、金融取引や不動産の賃貸などができなくなることになる。  すでに、警察は暴対法により暴力団の構成員及び準構成員名簿を保有している 。これが米国側に提出されると、この名簿の人物は社会的活動を制限されること になる。また、暴力団排除条例で定める暴力団密接交際者に指定されると、指定 された人物も制裁を受ける可能性が高くなるのである。すでにこのリスト作成が 進んでおり、関係者達はこれを恐れているのである。紳助の引退もこれに関連し た事案と言われている。 これはまだ始まったばかりである。 渡邉哲也
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