… … …(記事全文2,819文字)<地政学リスクと金価格の関係>
COMEX金先物相場は1オンス=3,400ドル水準での取引になっている。中東情勢の緊迫化を手掛かりに6月16日に3,476.30ドルまで上値を切り上げたが、株価の反発傾向もあって一気に3,500ドル台乗せを試す展開は見送られている。高いレベルの先行き不透明感が安全資産である金に対する投資ニーズを高める一方、投資家のリスク選好性が大きく損なわれていないため、地政学リスクの織り込みによる急伸対応までは見られない状況になっている。ボラティリティ指数(VIX)も20ポイントを超えたのは一時的であり、10ポイント台後半まで戻している。
【COMEX金先物相場(日足)】
中東情勢は依然として流動的であり、今後の展開によっては突然に急伸するリスクも抱えている。例えば、イスラエルがイランの石油輸出ターミナルを攻撃するような事態になると、原油相場が急伸する可能性がある。また、米軍はイスラエルとイランの軍事衝突に介入するか否か明確な立場を表明していないが、イスラエルに対する支援を強化するような動きがみられると、イランが中東全域の米軍基地に対する攻撃に踏み切り、米国や周辺国も軍事紛争に巻き込まれるリスクがある。