□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 小菅努のコモディティ分析 ~商品アナリストが読み解く「資源時代」~ 2021年10月11日(月)発行 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ =================================== 疑似的な完全雇用を示した9月雇用統計、金利上昇とインフレの綱引き続く金相場 =================================== <低調だが良好とも言える9月雇用統計> 10月8日に9月米雇用統計が発表された。ヘッドラインとなる非農業部門就業者数は前月比19.4万人増となり、市場予想50.0万人増を大きく下回った。2カ月連続で就業者数の伸びの鈍さが確認されているが、金相場に対する影響は限定されている。たしかに就業者数の伸びがマーケットの想定を大きく下回っていることは間違いないが、必ずしも雇用市場の悪化を意味するものとは評価されておらず、まして11月にも正式発表が行われるとみられるテーパリングを巡る議論には殆ど影響がないとみられるためだ。 今回発表された雇用統計では、8月の就業者数が速報の23.5万人増から36.6万人増まで上方修正されたが、それを考慮にいれても9月の就業者数の伸びの鈍さは否めない。マーケットでは新型コロナウイルスの感染被害が収束に向かい、経済活動が活発化する中、企業の雇用ニーズに対応する形で就業者数も大きく伸びると予想されていた。実際に、小売りが5.61万人増、レジャー・娯楽が7.4万人増など、関連業種では就業者数の伸びが確認されているが、その幅はあまりに小さかった。政府部門が12.3万人減と季節的な減少となった影響もあるが、それでも19.4万人増は昨年12月のパンデミックが最も深刻化した際に30.6万人減となって以来、最悪の数値になっている。… … …(記事全文3,548文字)