□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 小菅努のコモディティ分析 ~商品アナリストが読み解く「資源時代」~ 2021年8月2日(月)発行 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ =================================== シェールオイルの現状と展望、原油需給に対する影響力低下が進む =================================== <原油高でも投資を拡大しない米石油会社> 原油相場の高騰が続いている一因に、原油高でも米国の産油量が伸びない影響が指摘されている。シェール革命が石油分野でも本格化した2010年代中盤以降、原油相場は「価格が上昇すればシェールオイルの増産圧力が強まる」との見方から、上値を圧迫される展開が続いていた。中東などの大規模油田とは異なり、シェールオイルは探索から生産までの時間軸が短いため、原油価格動向に対して機動的な増産・減産対応が可能であり、原油需給は極端な供給不足も過剰も実現しづらい時代に移行したと言われていた。 このロジックであれば、原油相場が需給ひっ迫見通しを背景に1バレル=70ドルを超える高値水準に到達する中、当然に「原油高→シェールオイル増産→原油需給緩和→原油安」の流れが想定されてしかるべきであり、50ドル前後の価格水準からそのような議論も展開されていた。しかし実際には、60ドル、70ドルと値上がりが続いてもシェールオイルの大規模増産は回避されており、石油輸出国機構(OPEC)プラス主導の需給管理をシェールオイルが阻害するような動きは確認できない状況が続いている。… … …(記事全文3,802文字)