□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 小菅努のコモディティ分析 ~商品アナリストが読み解く「資源時代」~ 2021年7月12日(月)発行 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ =================================== 半導体不足で需要見通しが狂った白金、半導体供給が正常化に向かうのであれば =================================== <半導体不足の直撃を受けたプラチナ相場> NYMEXプラチナ先物相場は、5月10日の1オンス=1,281.40ドルをピークに、6月21日には一時1,021.70ドルまで下落する展開になった。今年の最高値は2月16日の1,348.20ドルだが、その後は1,200ドルの節目を巡る攻防を3か月近くにわたって続けた後、6月に大きく水準を切り下げた格好になる。7月入りしてからは安値修正の動きが下値をサポートしているが、足元では1,100ドル水準での攻防に留まっている。年初の1,081.00ドルを若干上回る値位置であり、結果的に今年に入ってからの値上がりはほぼ帳消しにされた格好になる。 プラチナ需給の視点では、自動車生産にトラブルが発生している影響が大きい。プラチナ市場が描いていたストーリーでは、今年は半導体不足によって自動車生産に一定規模の混乱が生じるが、全体としては新車生産の拡大、中国や欧州などの排ガス規制強化の動きを背景に、自動車排ガス触媒需要は大きな伸びを見せ、昨年の反動から大規模な鉱山増産が行われても、若干の需給タイト感は維持できるというものだった。しかし実際には、マーケットの想定以上に半導体不足の問題は深刻な状態にあり、半導体のエンドユーザーである自動車メーカーの生産計画にも大きな影響が生じている。… … …(記事全文3,410文字)