□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 小菅努のコモディティ分析 ~商品アナリストが読み解く「資源時代」~ 2021年5月14日(金)発行 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ =================================== 鉄鉱石価格抑制の犠牲になる天然ゴム、中国のコモディティ価格抑制策を警戒 =================================== <中国政治・経済に振り回される上海ゴム相場> 資源価格は自由貿易を前提条件としているだけに、この前提を崩す動きがみられると需給や価格に歪みが生じることになる。例えば、米国のトランプ前政権下では米中間の通商関係が歪み、米国産農産物が行き場を失う事態になり、中国国内の農産物需給不安定化の一方で、米農家は余剰在庫を抱える歪みが生じていた。政治的な要因から通商関係を歪めたことで、世界全体としてみれば需給が安定しているものの、必要とされる場所に必要とされる荷が存在しない状況が、混乱をもたらした。 足元では、豪中関係の不安定化が鉄鉱石や鉄鋼価格の高騰を招く一因になっている。中国国家発展改革委員会は5月6日、豪中戦略経済対話の下での全ての活動を無期限に停止すると発表した。声明では、「最近、一部の豪連邦政府当局者が、冷戦思考とイデオロギー上の差別から中豪の通常の交流・協力を混乱させる一連の措置を打ち出した」とその理由を解説している。この「措置」が具体的に何を指しているのかは明らかにされていないが、オーストラリア政府が、中国企業と地方政府が締結した北部ダーウィンの商業港の賃貸契約の見直しを検討すると発表した直後とあって、豪中関係を一段と悪化させるイベントと評価されている。… … …(記事全文3,711文字)