□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 小菅努のコモディティ分析 ~商品アナリストが読み解く「資源時代」~ 2019年10月08日(火)発行 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ =================================== 地政学リスクでサウジアラムコ格下げ / イラクの反政府デモはイランと関係? =================================== <サウジアラムコの格下げ> NYMEX原油先物相場は、9月16日の1バレル=63.38ドルをピークに10月3日の50.99ドルまで急落したが、足元では53ドル水準で下げ一服となっている。9月14日にサウジアラビアの石油施設が攻撃を受けると5月21日以来の高値を更新する急伸地合になったが、結果的には週明け16日の取引が高値となり、その後は9月24日から10月3日までの8営業日続落を絡める形で、逆に8月7日以来の安値を更新している。結果的には6月から続く50~60ドルをコアとしたボックスをブレイクしたのは一時的であり、今回のサウジ石油施設に対する攻撃に関しては、原油市場のマクロ環境に大きな修正を迫るには至らなかったことが確認できる。 もちろん、「9.14」の前と後とでは、地政学リスクの評価は大きく変わっている。例えば、格付け会社フィッチは10月7日、サウジ国営石油会社サウジアラムコの格付けを従来の「A+」から「A」に一段階引き下げている。フィッチは、サウジアラムコの債券発行を前に、今年4月に「A+」の格付けを初めて行っていた。その段階では、「AA+」に等しいクレジット環境との評価を下していたが、国(=サウジ)との関係性の深さによる不透明感から「A+」に留めるとされていた。しかし、9月14日にサウジアラムコの石油施設が攻撃を受けたことで、「地域の地政学的緊張の高まり、国家財政の赤字などを考慮に入れた」として、格下げに踏み切った。… … …(記事全文3,725文字)