□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 小菅努のコモディティ分析 ~商品アナリストが読み解く「資源時代」~ 2019年09月02(月)発行 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ =================================== ボックス相場を前提に動く原油相場、米中通商協議にはあまり期待できず =================================== <ボックス相場を前提にする原油市場> 8月のNYMEX原油先物相場は、1バレル当たりで前月比3.42ドル安となった。5月の10.41ドル安に続いて今年2回目となるマイナス月になっている。8月は、ダウ工業平均株価も前月比460.99ドル安となっており、5月の1,777.87ドル安に続いて今年2回目の下げとなっている。ともに米中対立がリスクマーケットを不安定化させた期間であり、主に通商問題が株価と原油相場を同時に押し下げたことが確認できる。一方で、5月と比較すると、8月は原油先物が32.9%、ダウ工業平均株価が25.9%の下げ幅に留まっており、ざっくりとしたイメージでは5月の3割程度のリスクオフ圧力だった計算になる。強力な下押し圧力が発生したが、5月の段階で米中通商環境の見通し悪化はかなりの程度まで織り込みが進んでいたことが確認できる状況にある。 原油相場の内部要因環境をみてみると、5月は強気派も弱気派も自信を持てなかったことが窺える。米商品先物取引委員会(CFTC)のデータで7月30日時点と8月27日時点の大口投機筋(Non-Commercials)のポジションを比較してみると、買いポジションが2万6,773枚減の51万3,465枚、売りポジションが同3万1,132枚減の12万1,815枚となっている。ネットでは、38万7,291枚の買い越しが、39万1,650枚の買い越しに変わっており、やや弱気筋のショートカバー(買い戻し)の勢いが強かったものの、新規で買いポジションを構築するような動きまではみられない中途半端な内部要因環境になった。… … …(記事全文4,280文字)