□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 小菅努のコモディティ分析 ~商品アナリストが読み解く「資源時代」~ 2017年07月12日(水)発行 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ ご購読ありがとうございます。金市場の視点からイエレンFRB議長の議会証言を読み解きます。米金融政策に比較的多くの情報が得られていますので、ポイントとなる点を確認します。 =================================== イエレンFRB議長の議会証言を読む、自然利子率がもたらす利上げの限界論 =================================== <イエレン証言を受けての金相場急落は見送り> 7月12日、イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、下院金融サービス委員会に出席し、証言を行った。6月14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見から1カ月近くが経過する中、マーケットは米金融政策環境についてより精度の高い情報が得られるか否かが注目されていた。具体的には、1)年後半に今年3回目の利上げが実施される確率を高める動きがみられるか、2)年内着手が予告されているバランスシート縮小について時期の特定を促すような発言があるかの二点だった。 6月下旬以降のグローバル・マーケットでは、世界的に急激な金利上昇圧力が観測されているが、仮に米金融政策の正常化プロセスについて、その実現可能性やスピードアップをイメージさせる動きがみられれば、金利上昇圧力をより確かなものにして、法定通貨買い・金売りの流れを加速させることも十分に可能だった。特に、FRBは世界に広がりつつある金融政策正常化の流れを先導する役割を果たしており、ここでマーケットに米金融政策正常化への信認を一段と高めるような動きがみられれば、欧州中央銀行(ECB)やイングランド銀行、カナダ中央銀行のみならず、オーストラリア準備銀行や日本銀行に対してさえも金融政策正常化圧力を強めることが可能であり、金市場を取り巻く環境は大きく変わる可能性もあったためだ。… … …(記事全文4,125文字)