□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 小菅努のコモディティ分析 ~商品アナリストが読み解く「資源時代」~ 2017年07月10日(月)発行 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ ご購読ありがとうございます。シェールオイルの減産に対する警戒感を本格化させることには失敗しましたが、原油相場の現状と今後のポイントを解説します。 =================================== シェールオイル減産への懸念は本格化せずも、根強い下期の在庫減少予想 =================================== <急伸チャンスを一つ失ったが、下値不安は乏しい> 7月3日の週は、原油相場に対して極めて重要な週だった。というのも、6月最終週の統計では、米産油量とリグ稼働数がともに前週比マイナスになったことで、「シェールオイルの生産コストラインに到達した可能性がある」との見方が浮上していたためだ。これまでは、シェールオイルの増産ペースは加速することはあっても減速することはなかったが、1バレル=50ドル割れで取引される時間帯が増え、更には6月21日安値が42.05ドルに達する中、いよいよシェールオイル産油量に働くエネルギーが増産から減産に変わり始めたリスクが警戒されていた。 米ベーカー・ヒューズ社が発表した米石油リグ稼働数は、6月30日時点で前週比2基減の756基となったが、前週比マイナスとなったのは今年2回目のことであり、実に24週間ぶりである。一方、米エネルギー情報局(EIA)が発表した産油量は前週比で10万バレル減の日量925.0万バレルとなっている。前週比で10万バレルを超える減産になったのは昨年7月1日以来のことである。米産油量が週間統計で前週比マイナスになるのは決して珍しいことではないが、減産幅が比較的大きかったことに加えて、リグ稼働数の減少が同時に発生したことが、マーケットに緊張感をもたらした。産油量とリグ稼働数が同時に減少報告になったのは、昨年6月24日以来のことである。2週連続でこの二つの統計がともに減少すれば昨年5月13日の週以来のことであり、仮に7月入りした後も両指数の減少傾向が続くのであれば、いよいよシェールオイルが需給緩和要因から引き締め要因に転換する可能性も浮上するためだ。… … …(記事全文4,403文字)