… … …(記事全文2,263文字)高市早苗総理大臣は、所信表明演説で、
「成長率の範囲内に債務残高の伸び率を抑え、政府債務残高の対GDP比を引き下げていくことで、財政の持続可能性を実現し、マーケットからの信認を確保していきます。」
と、語ったが、この文章はなかなか考えられている。
まずは、「成長の範囲内に債務残高の伸びを抑える」だが、「何」の成長率かは(恐らく故意に)触れていない。
一般的に、成長率といえば実質GDP成長率を意味する。というよりも、「経済成長」の定義が実質GDP成長率なのである。
とはいえ、所信表明演説では、実質GDPとは言っていないわけで、名目GDPの成長率でも構わないわけだ。
加えて、「政府債務残高の対GDP比」。政府債務対GDP比率の「GDP」は、これは初めから実質ではなく名目GDPなのである。一般的に、名目GDPと比較した政府債務の割合を引き下げていくことが「財政健全化」と理解されている。(本来、自国通貨建て国債しか発行していない日本は、政府債務対GDP比率に大きな意味はないが)
