… … …(記事全文1,998文字)-労働投入量と経済成長-
労働者人口と経済成長が(ほぼ)関係ない事実は、日本銀行や内閣府が公表する潜在成長率からも分かる。
現在の日本政府が発表する潜在成長率は、最大概念ではなく、平均概念の潜在GDPに基づいている。つまりは、
「日本経済の潜在的な生産能力」
ではなく、過去の平均の生産(GDP)に過ぎないのだ。逆に言えば、現在の日本の潜在成長率は、
「日本経済は労働力や資本がフル稼働した際の国内総生産」
は、全く意味していないものの、
「過去の日本経済がどのように生産力を増やしたのか?」
という実績は示してくれていることになる。妙な表現だが、平均概念の潜在GDPの思わぬ恩恵だ。内閣府などが公表する潜在GDPの構成要素を見ると、「何」が日本経済を成長「させたのか?」(あるいは「させなかったのか?」)が理解できるのである。
【日本の全要素生産性・資本投入量・労働投入量の推移(対前年比%)】
http://mtdata.jp/20251025-1.jpg
図の通り、日本の潜在GDPは、バブル崩壊までは、
- 労働投入量
- 資本投入量
- 全要素生産性
の三つがバランス良く増加し、成長していた。
バブル崩壊以降、労働投入はマイナスに転じた。とはいえ、資本投入と生産性向上により日本経済は成長を続けたのである。
この時点で、
「移民(労働者)を増やさなければ経済成長できない」
が、嘘であることが分かる。
