… … …(記事全文2,536文字)経済成長は生産性向上で「ほぼ」決まるわけだが、経済学者は生産性について解説するのを嫌う。
理由は、
「同じ数の労働者が同じ機械を使ったとしても、生産量が変わる」
ためである。つまりは「後」になってみなければ生産性向上効果は分からないため、経済学者お得意の数値モデル化が不可能なのだ。
さらに言えば、経済成長率(※潜在成長率)を決定する三要素、「労働投入量」「資本投入量」「全要素生産性」において、資本投入量についても、事前予測は困難だ。
資本投入量とは、企業などが生産活動に必要な設備(資本ストック)の量を指す。具体的には、工場、機械、パソコン、ソフトウェアなどに投じる物資的な資本の総量であるが、これまた事前予測が困難だ。
資本投入量を増加させることを「投資」と呼ぶ。
企業経営者が投資をするのか、否かの判断は、最終的には「勢い」等で決まってしまい、事前予測は不可能に近い。
例えば、確実に生産性が向上する投資であっても、経営者は逡巡するかもしれない。
あるいは、逆に生産性向上に貢献しそうにない投資であっても、経営者が強行するかもしれない。
さらに言えば、「生産性向上に貢献しそうにない投資」により、生産性が急激に上昇することも、普通にあり得る。
というわけで、三要素の内、事前の予測がある程度可能なのは「労働投入量」だけなのだ。
