… … …(記事全文2,226文字)前回、第二次安部政権発足以降の日本政府は「日経平均(株価)至上主義」だったと書いたが、実際の日経平均の推移を見てみよう。
【図1 日経平均の推移(円)】
http://mtdata.jp/data_95.html#NSA
図1の通り、1万円程度で低迷していた日経平均は、第二次安部政権以降に上昇局面に入り、現在は4万円を超えている。
別に、株価上昇が悪いことであるとは言わない。
とはいえ、実質賃金が低迷し、企業業績が上がらない(特に中小企業)状況で株価が上昇したところで、
「国民が豊かになった」
とは言わない。
豊かになるとは、おカネが増えることではない。おカネが増えれば豊かだと主張するならば、銀行から十億円を借りればいい。家の中に十億円の札束を積み上げても、バランスシート(貸借対照表)では、借方(資産)、貸方(負債)が同額増えているに過ぎない。つまりは、純資産は増加していない。
豊かになるとは、ストック面では純資産が拡大することで、フロー面では所得が増えることだ。
株価が上昇したところで、誰の所得も増えない(※厳密には証券会社の手数料分の所得は増える)。
ちなみに、株価は、
「誰かがカネを借り、株式を購入するだけ」
で上昇する。
無論、GDPが拡大し、企業や家計の所得が上昇した結果、株価が上昇したならば分かる。とはいえ、第二次安部政権発足以降の株価上昇は、間違いなく違う。