… … …(記事全文2,176文字)フランスの経済学者で「21世紀の資本」で有名なトマ・ピケティは、
「欧州の付加価値税(日本の消費税)の税率が高いのは、社会保障費を捻出するためではない。関税なのだ」
と、来日時の講演で発言している。
日本では、欧州諸国は高い消費税を「財源」に社会保障を充実させている、などと「それっぽいこと」が言われているが、嘘である。欧州の消費税率が高いのは、各国が「関税引き上げ合戦」を繰り広げた結果なのだ。
【2024年時点 欧州連合加盟国の付加価値税最高税率(%)】
http://mtdata.jp/20250425-1.jpg
どういうことなのか。日本の消費税(※付加価値税と仕組みは同じ。以下、消費税で統一する)で考えてみよう。
実は、外国製品を日本に輸入した場合、輸入業者が消費税を支払う必要があるのだ。具体的には、消費税法の以下の条文(第五条2項)による。
『(納税義務者)
第五条 事業者は、国内において行つた課税資産の譲渡等(略)及び特定課税仕入れ(略)につき、この法律により、消費税を納める義務がある。
2 外国貨物を保税地域から引き取る者は、課税貨物につき、この法律により、消費税を納める義務がある。』
意外だろうが、外国から輸入された製品にも、消費税は課せられているのである。
例えば、アメリカから1000円の製品を輸入した日本企業は、そこに利益を乗せるのは当然として、消費税という「コスト」を負担させられる。となれば、輸入企業の利益が10%として、1000円の製品を1100円で売るわけにはいかない。何しろ、消費税を負担しなければならないわけだ。