… … …(記事全文2,399文字)所得税の基礎控除等の引き上げが議論になっている。要するに、減税政策なのだが、減税議論に際して、
「財源はっ!?」
と叫ぶ与党関係者が少なくなく、呆れ果ててしまっている。
百歩譲って、政府が何らかの支出をする際に「財源は?」とやるのは、まだしも理解できる。
財源は国債。ではあるのだが、一般の国民や政治家は、政府の支出プロセスについて理解しておらず、
「政府はどこかから資金を調達し、支出している」
と、間違った認識を持っているためだ。
とはいえ、財源とはそもそも「財政支出の源」である。減税は財政支出ではないため、財源も何もあったものではない。
しかも、政府は常に国債(※国庫短期証券含む)を発行し、支出している。何しろ、タイミング的に徴税は支出の「後」になってしまう。
スペンディングファースト(支出が先)は、正しいというか、単なる現実である。
つまりは、減税政策とは、
「政府が国債発行し、支出し、国民に貨幣(主に銀行預金)を供給し、後から税金で回収する分を減らせ」
という政策になるため、財源論自体が成立しないのだ。
とはいえ、我が国では一応、建て前的には「減税の財源はどうする?」という理屈が成り立たなくもない。
理由は、未だにプライマリーバランス(基礎的財政収支、以下PB)25年度黒字化目標が堅持されているためだ。
PBとは、国債利払費を除く政府支出と、税収・税外収入の収支になる。利払費以外は、税金等で賄う。しかも、単年度で、が「PB黒字化目標」だ。
2025年1月17日、日本政府はようやく25年度PB黒字化は不可能という現実を認めた。
週刊三橋貴明 ~新世紀のビッグブラザーへ~
三橋貴明(経世論研究所所長)