… … …(記事全文2,039文字)我々は生産者として働き、財やサービスを生産し、顧客に需要(消費+投資)として支出してもらい、所得を稼ぐ。
所得創出のプロセスにおいて、生産と支出、所得の三つは必ずイコールになる。
そして、生産の合計を「国内総生産」と呼ぶ。すなわち、GDP(Gross Domestic Products)だ。
さらに、生産=支出=所得であるため、実はGDPとは国内の生産の合計であり、支出の合計であり、所得の合計でもあるのだ。
これを、GDP三面等価の原則と呼ぶ。
もっとも、重要なのは上記は「地球規模」でしか成り立たない、という点である。
GDP(「国内」総生産)と呼びつつ、GDP三面等価の原則は、実際には国境を意識していない。
外国の生産者が鉱物性燃料(原油、LNGなど)を生産し、日本に販売した。つまりは、日本の輸入だ。
日本が輸入している外国産の鉱物性燃料の価格が上がった。
その場合、GDP三面等価の原則により、生産、支出、所得の三つが同時に増える。
とはいえ、何しろ生産者は外国なのだ。日本国民は支出は増えるものの、生産及び所得が増えるのは外国の生産者だ。
日本国民は所得が増えない。それにも関わらず、支出金額は増える。これが、現在進行形で続いているコストプッシュ型インフレの本質だ。
経済統計は国境を意識しない。
地球上の誰が生産したところで、GDPは増える。
だが、GDPと言いながら、所得が増える「人間」は外国の生産者である可能性があるのである。
財やサービスの価格が上がり、生活者としての国民の「値段感」は上がる。それにも関わらず、所得は増えていない。
すなわち、実質賃金が下落する。