… … …(記事全文2,441文字)GDPとは我々が働き、財やサービスを生産し、買い手が支出し、我々の所得が生まれるという、一連の所得創出のプロセスにおける、
「生産の合計」
「支出の合計」
「所得の合計」
である。所得創出のプロセスにおいて、生産と支出と所得は必ずイコールになる。これをGDP三面等価の原則と呼ぶ。
もっとも、当初、集計されるGDPは名目値(金額)である。名目GDPの場合、物価が上昇するだけで増えてしまう。
というわけで、名目GDPから物価変動分を控除し、実質のGDPを計算する。経済成長率とは、名目ではなく実質GDPの成長率のことである。
実質GDPを計算する際の物価変動率を「GDPデフレータ」と呼ぶ。
GDPデフレータは、物価の総合的な指標と理解されがちだが、実は厳密には正しくない。
GDPを支出面で見ると、以下の通りとなる。
◆GDP(支出面)=民間最終消費支出+政府最終消費支出+民間住宅+民間企業設備+公的固定資本形成+在庫変動+純輸出
内閣府は支出面の各項目についてデフレータ(物価変動)を集計し、GDPに占める割合で重みづけすることで全体のGDPデフレータを計算している。
例えば、民間最終消費支出であれば、
「民間の消費における物価変動」
を観測し、民間最終消費支出がGDPに占めるシェアにより、GDPデフレータ全体をどれだけ変動させるのかが決まるのだ。
要するに、GDPデフレータとは各需要項目のデフレータの合算なのである。
ところで、純輸出とは「=財・サービスの輸出-財・サービスの輸入」だ。純輸出という需要項目はない。
当然、デフレータも「輸出デフレータ」と「輸入デフレータ」が存在する。輸出する際の物価変動と、輸入物価の変動だ。
週刊三橋貴明 ~新世紀のビッグブラザーへ~
三橋貴明(経世論研究所所長)