… … …(記事全文2,308文字)-株主資本主義-
いわゆる「失われた30年間」をもたらした原因は、日本政府の経済政策の間違いだ。他に原因は一切ない。
例えば、過去三十年間、日本政府は我々「家計」の負担を引き上げることを繰り返してきた。
特に問題だったのが、税金ではなく「社会保障負担」の引き上げだ。
【日本の国民負担率の推移】
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日本の国民負担率は1970年の25%から、直近では50%近くに上昇している。国民負担率が倍増したわけで、家計の購買力が激減したのは必然だ。
もっとも、国民負担率を引き上げたのは租税ではなく、社会保険料の上昇である。
租税については、累進課税が緩和されたこともあり、1970年以降はほぼ横ばいで推移している。
それに対し、社会保険料負担は5%から15%へと急騰した。結果的に、国民の可処分所得が減った。
政府は、財務省の緊縮財政至上主義に基づき、国民の負担をひたすら引き上げていった。結果、国家は凋落し、国民が貧困化した。
同時に、日本政府は企業向けの経済政策においても、国民の所得を減らす「規制緩和」政策を推進していった。
1990年代後半に、株式持ち合い解消が始まった。
1993年にBIS規制。
1996年に金融ビッグバン。
1997年にストックオプション制度導入。持ち株会社解禁。
2000年に時価会計導入。
2002年に社外取締役制度導入。
2003年に四半期決算義務化。
元々は経営者、従業員、取引先、地域、環境と、様々なステイクホルダーが存在していた日本企業が、
「株主のため」
の存在へと変換されていった。株主資本主義の蔓延である。
特に、二十一世紀に入って以降、日本の株主資本主義はひたすら進行していく。
週刊三橋貴明 ~新世紀のビッグブラザーへ~
三橋貴明(経世論研究所所長)