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週刊三橋貴明 ~新世紀のビッグブラザーへ~

三橋貴明(経世論研究所所長)

三橋貴明

帝国主義は終わっていない

-帝国主義は終わっていない-


帝国とは、民族、言語、宗教、文化、価値観、ライフスタイル等が異なる人々を「一つの共同体」としてまとめ上げる国家体制である。

民族等が異なるため、当然ながら帝国には常に遠心力が働く。

結果、共同体を維持するために政治体制は専制的にならざるを得ない。

絶対権力を持つただ一人の皇帝が、全てを支配する。人民(※国民ではない)は財産権を保障されず、言論の自由も認められない。

それに対し、帝国「主義」とは、経済システムである。

他国の経済の五要素の内、「労働」「需要」「資源」を管理することで、「誰か」の所得を最大化するシステムなのだ。


【経済の五要素】

http://mtdata.jp/20221102-1.jpg


本格的な帝国主義は、やはりイギリスの産業革命が始まりである。

インド産綿製品(キャラコ)が大ブームになったイギリスでは、賃金水準の差(当時のイギリスの人件費はインドの六倍だった)を補うため、様々な発明・技術開発が行われた。

製造工程が機械化、自動化され、イギリスの綿産業の生産性は数百倍になり、単位労働コストは下がった。

結果的に、イギリス産綿製品は、本家本元のインド産よりも安くなってしまった。しかも「インド市場」においても、イギリス産の方が安価になったのだ。

もちろん、イギリスで綿花は生産できない。結果、

1.インドで綿花を生産させ、イギリスに運ぶ

2.イギリスで綿製品を生産する

3.イギリス産綿製品をインド市場で販売する

という、インドからの所得収奪システム、すなわち「帝国主義」が成立した。

それまで綿布産業で繁栄を極めていたインドのダッカ、スラート、ムルシダバードなどの街は貧困化の一途をたどり、当時のイギリスのインド総督が、

「この窮乏たるや商業史上にほとんど類例を見ない。木綿布工たちの骨はインドの平原を白くしている」と嘆くに至った。

… … …(記事全文2,502文字)
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