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経世論研究所 所長の三橋貴明の
日本経済のボトルネックを取り去る国家コンサルティング VOL.794
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☆☆☆☆☆☆ 日本経済は輸出依存である ☆☆☆☆☆☆
☆☆☆☆☆☆ 円高で日本経済は破綻する ☆☆☆☆☆☆
☆☆☆☆☆☆ 日本政府は財政破綻する ☆☆☆☆☆☆☆
☆☆☆☆☆☆ 日本の内需は絶望的である ☆☆☆☆☆☆
日本の新聞・テレビなどのマスメディアでは、上記のフレーズがあたかも「常
識」のように使われている。しかし、実際に数値データを調べてみると、上記
フレーズは全て根拠が全くない「嘘」であることが判明する。嘘のフレーズが、
まるで湿気を帯びた空気のようにまとわりつき、日本経済成長の「ボトルネッ
ク」と化しているのが現実なのだ。本メルマガでは、正しい数値データに基づ
き各種の「嘘の常識」を暴き、ボトルネックを取り去ることで、日本経済が着
実な成長路線を進めるようコンサルティングを提供する。 三橋貴明
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-社会保障支出という需要-
人口ボーナス論という考え方がある。
人口について「生産年齢人口(15歳-65歳)」と「従属人口(14歳以下の年少人口と65歳以上の老年人口の総計)」に分け、
「生産年齢人口に対し、従属人口の比率が低下する、人口ボーナス期に経済成長する」
という考え方だ。
実際には、経済成長は人口や人口構造とは無関係に、生産性向上で起きる。
GDP三面等価の原則により、付加価値の生産、消費・投資としての支出、そして所得は必ずイコールになる。
生産性が高まると、生産者一人当たりの付加価値の生産が増える。生産=支出=所得であるため、生産性向上は実質の所得を増やす。
実質所得が高まると、消費・投資という需要が増大する。
供給能力が需要に対し不足すると、生産性向上の投資が起き、生産性が高まることで実質の所得が増える。
つまりは、経済成長に必要な生産性向上を呼び込む環境は「総需要(厳密には潜在的需要)>供給能力」というインフレギャップなのである。
生産年齢人口に対する従属人口の比率が低下しようが、高まろうが、生産性向上の投資が起きない限り経済成長はしない。
それでは、人口ボーナス論はいかなるロジックで、経済成長について説明しているのだろうか。
人口ボーナス期には、豊富な労働力を背景に個人消費が活発になり、高齢者が少なく社会保障費用が「抑えられる」ため、経済が拡大しやすい。
と、説明しているのだが、高齢者の社会保障費用が「抑制」されると「高齢者の個人消費」という需要は確実に縮小する。
逆に、高齢者の社会保障費用が増えれば「高齢者の需要」が拡大することで、経済のインフレギャップ化に貢献する。
週刊三橋貴明 ~新世紀のビッグブラザーへ~
三橋貴明(経世論研究所所長)