… … …(記事全文1,760文字)2024年は株高で大晦日を迎えた。12月31日付け日本経済新聞朝刊は「歴史的な上昇を記録した」「日本株、バブル超えの年 脱デフレ銘柄・東証改革・新NISAが支え」と、はしゃぐ。日経は脱デフレ、東証改革、新NISAの三位一体に支えられているというわけだが、違和感ありだ。
「脱デフレ」は物価高の側面だけを捉えており、需要不足が続いている現実から目をそらしている。東証の市場改革、新NISA(少額投資非課税制度)は個人投資家を誘引したかもしれないが、マイナーな要因でしかないだろう。
株高をもたらしている主因ははっきり言って、円安である。円安のトレンドが円高に逆転すれば、日本株ブームは一挙に冷えるだろう。
論より証拠、グラフは円ドル相場と日本株価(東証総合指数)の月単位の推移である。2012年初めから24年末までを追っているが、両者は奇跡的とも言い得るほどに寄り添っている。統計学の相関係数(最大値は1で、アツアツのカップルに例えられる)は0.9を上回る。つまり円安に振れると株高、逆は株安というわけである。シンプルに、株高の謎は円安に尽きると考えればよいだけなのだ。あーだ、こうだと解説しないと経済記事にならないというわけだろうが、円安を「悪い」と決めつけてきた経済メディアや当局者にとっては不都合な真実なのだろう。