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増田悦佐の世界情勢を読む

増田悦佐(エコノミスト・文明評論家)

増田悦佐

経済成長率と企業利益と株価の不思議な関係 訂正版

●   アメリカは先進諸国でも成長鈍化がひどい国


読者の皆さんは「アメリカは政治や社会、あるいは軍事や外交では難点も多いけど経済はしっかり成長している国」という印象をお持ちではないでしょか。

ショービジネスの本場だけに、アメリカは自国がどんなに立派な国かというイメージを世界に発信することは、とても上手です。

だからこそ「現代世界でも経済発展に重要な技術革新の大半はアメリカ人か、アメリカにやって来た一流の科学者たちがやっていて、時価総額が巨額にのぼるハイテク超大手は全部アメリカで創業した企業だ」と思っていらっしゃる方も多いのです。

でも、ちょっとお待ちください。その「いろいろ文句を言いたくなることはあっても、やっぱり経済はアメリカがナンバーワン」という思いこみ、具体的なデータで裏付けることができるでしょうか。

経済で大事なのは、規模や水準より、どの程度のスピードで成長しているかという動きです。

そして成長率という動きの尺度で見ると、アメリカ経済がすばらしかったのはせいぜい1950~60年代ぐらいまでで、あとは先進諸国の中でも減速が顕著な部類に入るのです。

そのへんの事情を次の2段組グラフからご確認ください。

上段は20世紀以降のアメリカの10年代ごとのGDP成長率をまとめたグラフです。アメリカの経済成長率がいちばん高かったのは、前半は第二次世界大戦が続いていた1940年代だったことが分かります。

また、20世紀から21世紀最初の25年間を通じたGDP成長率平均値は3.2%なのですが、平均値より上だった時期は1960年代以前で、1970年代以降は2度長期平均と同じ成長率になった以外は、一貫して長期平均を下回っていました

下段は1960年代からの世界のGDP成長率を10年代ごとの平均値にしてまとめたグラフです。こちらも年代が進むにつれて成長率が下がる傾向はありますが、アメリカほど大きく鈍化しているわけではありません

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