… … …(記事全文12,898文字)● 技術革新の成果はどこに?
日本流に言えば大納会(その年最後の営業日)となる2024年12月31日終値の時点で、アメリカ株式市場で時価総額トップ10企業の時価総額は20兆4000億ドルで同年1月2日の13兆6000億ドルから正確に50%増加していました。
次の2段組グラフの上段が、この超大型10銘柄時価総額合計額の年間推移を示しています。
さらに銘柄数を絞りこんで、S&P500株価指数に組み入れられた時価総額トップ8銘柄の時価総額を、8つのセクターに分けて表記したのが下段になります。
2024年の時価総額トップ8のうちテクノロジーセクターの株が約6割、情報サービスと裁量型消費財が約2割ずつという、極端に絞りこまれた構成になっています。テクノロジーと情報サービスの境界はあってないようなものですから、情報・テクノロジー関連とまとめてもいいでしょう。
おまけに去年末時価総額トップ8銘柄に食いこんでいた裁量型消費財2銘柄は、世界最大のeコマース企業として小売業者分類となっているアマゾンと、自動車産業で時価総額首位の座を占めているテスラです。
つまり8銘柄全部が世間的には「ハイテク」株と呼ばれている大手企業群だったのです。これはアメリカではドット・コムバブルと呼ばれていたバブルが西暦2000年に崩壊する直前の1999年末よりはるかに偏った銘柄構成です。
1999年末の時点では、GEは家電、重電、電子機器も多少やっていましたが、実態としては消費者金融業者に成り下がっていました。
いつまでも固定線にしがみついたままの旧態依然たる企業だったAT&Tを情報通信業者として入れてやったとしても、トップ10に入るのはマイクロソフト、シスコシステムズ、インテル、ワールドコム、AT&T、そしてノキアの6社、トップ8ならノキアを除く5社にとどまっていたのです。
一方、去年末の時価総額トップ10のうち上から8銘柄は情報・テクノロジーですから、トップ8に絞れば100%が情報・テクノロジー関連という異常事態になっていたのです。