… … …(記事全文11,079文字)2025年2月17日発行(通算第810号)
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世界情勢ブリーフィング
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トランプ政権の嵐は止まることなく、発足から1か月が経ちましたが、その勢いはさらに増しています。あまりにも多くの出来事が連日続くため、どこから取り上げればよいのか迷うほどです(苦笑)。
今週は、その中でも関税とガザ政策に焦点を当てます。ウクライナ、欧州、インド、USAIDをはじめとする政府機関の「解体」、経済(財政)政策、マーケットなど、他にも取り上げるべきテーマは山ほどありますが、これらについては今後順次フォローしていきます。
【目次】
1.先週の動き
(1)トランプの関税攻勢(鉄鋼・アルミ、自動車、相互関税)
(2)トランプのガザ介入
2.今週の動き
3.今週の一冊
4.近況報告
5.あとがき
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先週の動き
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2/9(日)
・エクアドル大統領選挙(1位ノボア大統領、2位ゴンサレス元国会議員、4/13に決選投票)
・スーパーボウル(ニューオーリンズ)
2/10(月)
・トランプ大統領が鉄鋼・アルミ製品への25%の追加関税をすべての国に適用する大統領布告を発表
・トランプ大統領が海外腐敗行為防止法(FCPA)の執行停止を命じる大統領令に署名
・米司法省が連邦検察にNY市のアダムズ市長の起訴取り下げを指示
・米海軍のミサイル駆逐艦と海洋測量船が台湾海峡を通過(~12日)
・イーロン・マスクがオープンAIに買収を提案したとの報道
・日米仏共同訓練(パシフィック・ステラー)(フィリピン東方海空域、~18日)
・AIアクションサミット(パリ、~11日)
・ハマスが2月15日に予定されていた人質解放の延期を発表
2/11(火)
・トランプ大統領とヨルダンのアブドラ国王が会談(ワシントンDC)
・トランプ大統領が各省庁に大規模な人員削減を求める大統領令に署名
・トランプ大統領が連邦緊急事態管理局(FEMA)を閉鎖すべきとトゥルース・ソーシャルに投稿
・ロシアが拘束していた米国人マーク・フォーゲルを解放(ペスコフ報道官は米国で拘束されているロシア人が解放されると発言)
・イスラエルの治安閣議がハマスが2月15日に人質を解放しない場合は停戦を終了すると決定
2/12(水)
・トランプ大統領がロシアのプーチン大統領、ウクライナのゼレンスキー大統領とそれぞれ電話協議したとトゥルース・ソーシャルに投稿
・マサチューセッツ州連邦地裁がトランプ政権による政府職員の早期退職の差止請求を却下
・ウクライナ防衛コンタクト・グループの会議(ブリュッセル)
・米上院がガバード元下院議員の国家情報長官就任を承認
・ロシアのプーチン大統領とシリアのシャラア暫定大統領が電話会談
2/13(木)
・トランプ大統領が「相互関税」の導入を指示する覚書に署名
・米上院がロバート・F・ケネディ・ジュニアの保健福祉長官就任を承認
・中英戦略対話(ロンドン)
・シリアの復興に関する国際会議(パリ)
2/14(金)
・トランプ大統領が自動車への追加関税を4月2日にも公表すると発言
・ミュンヘン安全保障会議(ミュンヘン、~16日)
・ヴァンス副大統領とウクライナのゼレンスキー大統領が会談(同)
・ワシントンDC連邦地裁がトランプ政権による消費者金融保護局(CFPB)の人員削減の差止めを命令
・米司法省の検事がNY連邦地裁にNY市のアダムズ市長の起訴取消しを要請
2/15(土)
・G7外相会合(ミュンヘン)
・日米韓外相会合(同)
・中国最高人民検察院が唐一軍前司法相を収賄罪の容疑で起訴したと発表
・ハマスが人質3人を解放
・アブハジア大統領選挙
・アフリカ連合(AU)首脳会議(アディスアベバ、~16日)
●トランプの関税攻勢(鉄鋼・アルミ、自動車、相互関税)
トランプ大統領は、通商拡大法232条に基づき、鉄鋼およびアルミ製品に対する25%の追加関税を3月12日から全貿易相手国に適用することを決定しました。
この追加関税は、第1次トランプ政権下の18年に導入されましたが、その後、日本や欧州、カナダ、メキシコ、ブラジル、アルゼンチン、韓国、ウクライナは適用除外とされていました。しかし、今回の決定により、これらの国々に対する免除措置が廃止され、さらに、アルミ製品に関しては、従来の関税率10%が25%に引き上げられることになります。
また、トランプは、各省庁に対し、「相互関税」の導入を検討するよう指示しました。これは、米国が長年にわたり友好国・敵対国を問わず不当な貿易待遇を受けてきたとの認識に基づき、貿易赤字の削減と不公正な貿易慣行の是正を目的とした措置です。これからすべての貿易相手国ごとに調査が実施されるとしています。
さらに、トランプは、自動車に対する輸入関税を4月2日にも発表する意向を示しました。
今回の一連の動きは、以下の記事で述べた見通しにおおむね沿ったものですが、最新の情報を踏まえ、今後の展望について改めて解説します。
・「トランプ政権の始動」(1/27)
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・「トランプの関税攻勢の始まり」(2/7)