Foomii(フーミー)

山田順の「週刊:未来地図」 ― 日本は、世界は、今後どうなっていくのでしょうか? 主に経済面から日々の出来事を最新情報を元に的確に分析し、未来を見据えます。

山田順(ジャーナリスト・作家)

山田順

山田順の「週刊:未来地図」No.688: もはや地球温暖化は止められない 。「気候オアシス」への「環境移住」が始まっている!


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

             山田順の「週刊:未来地図」                 

                           No.688 2023/10/03

                  もはや地球温暖化は止められない

 「気候オアシス」への「環境移住」が始まっている!

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 

  ようやく猛暑の夏は去り、秋がやってきたが、地球温暖化は止まらない。温暖化による気候変動は、むしろ、今後はさらに激しくなっていくだろう。もはや、温暖化阻止は無理という見方が強まっている。WHO(世界気象機関)も、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の目標である1.5℃〜2.0℃抑制は絶望的と警告している。

 そこで注目されるのが、「環境移住」である。すでに一部の人間たちの間では、「気候オアシス」を求めての移動、移住が、世界規模で始まっている。

  気候変動の猛威を逃れて、快適に暮らせるところはどこか? 現在、人気になりつつある「環境移住人気地」をガイドする。

[目次]  ─────────────────────

■「平年並み」と「例年通り」がなくなった

■温暖化を阻止できても気温は元に戻らない  

■気温が1℃上がると10億人が住めなくなる

■熱帯では「環境難民」、温帯では「環境移住」

■フロリダやアリゾナよりミシガンやミネソタ

■ニューヨークを離れてウインターリゾートへ

■トレンドは「ハイランド」と「ニューノース」

■移住の参考になる「世界都市ランキング」

■環境移住の「適地」とされる美しい3つの島

─────────────────────────

■「平年並み」と「例年通り」がなくなった

  ようやく10月になり、秋がやって来たことを感じるようになった。しかし、いずれは10月でさえまだ夏という気候になっていくだろう。それほど地球温暖化のスピードは速くなっている。

 天気予報であまり聞かなくなった言葉がある。「平年並み」と「例年通り」だ。

 気象庁によると、「平年(値)」とは「平均的な気候状態を表すときの用語」で「10年ごとに更新した30年間の平均値」を用いるという。つまり、現在言われている「平年」は、1991 年から 2020 年までの平均値に基づいていて、2030年まで使われるという。また、「例年」は気象用語ではないが、「いつもの年」(三省堂国語辞典)という意味で、「例年だとこの季節には」というように使われるという。

 しかし、この先もおそらく「平年並み」「例年通り」を聞く機会は少なくなるだろう。もはや、そんな季節はやって来ないと思ったほうがいい。

 すでに、WHO(世界気象機関)は、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の目標である1.5℃〜2.0℃抑制は絶望的だという警告を出している。

■温暖化を阻止できても気温は元に戻らない  

 IPCCの1.5℃〜2.0℃抑制というのは、「パリ協定」で定められたものだが、あくまで目安。この範囲に気温上昇を押さえ込めたとしても、その後、世界の気温が元に戻るわけではない。

 気温上昇のシナリオには何通りかあり、現在の状況を見ていると、そのうちの「最悪シナリオ」になってしまうのではないかと思えてくる。そのシナリオでは、2100年の世界気温は2.8℃~4.6℃の範囲に上昇している。マキシムとされる4.6℃というのはすごい数字である。

 もし本当に4.6℃上昇ともなれば、人類の生存は危機的状況になる。

 もちろん、世界が総力をあげてGHG(温室効果ガス、主にCO2)の排出量を削減すれば、このシナリオはなんとか防げる。しかし、ほぼどの国も「カーボンニュートラル 」に真剣でない現状を見れば、そんなことは無理ではないか思える。

 カーボンニュートラルの達成には、クルマの完全EV化、全固体電池の開発、再生可能エネルギーへの全面転換、グリーン水素の生産、DAC技術の確立、核融合発電の開発など、いま効果的と考えられるあらゆることに莫大な投資が必要だ。いまの高度文明生活をいったん捨て、どんなに貧しくなろうとCO2削減に邁進する覚悟が必要だ。そう考えると、そんなことができるとは、とても思えない。

 とすると、選択肢は一つしかない。温暖化になんとか適合していく。それだけしかない。はっきりしているのは、いま私たちが暮らしているところが、いずれ、居住に適さないところになってしまう可能性があることだ。

 つまり、夏の熱波がひどく、豪雨にひっきりなしに見舞われるようなところ。川べりの平地で洪水が起こりやすいところ。海沿いの平地で、海面上昇の影響を受けるところから、私たちはなるべく早く離れなければならない。

… … …(記事全文8,524文字)
  • バックナンバーを購入すると全文読むことができます。

    購入済みの読者はこちらからログインすると全文表示されます。

    ログインする
  • 価格:214円(税込)

    ひと月まとめて購入するとさらにお得です。

    価格:855円(税込)

    2023年10月分をまとめて購入する

今月発行済みのマガジン

ここ半年のバックナンバー

2025年のバックナンバー

2024年のバックナンバー

2023年のバックナンバー

2022年のバックナンバー

2021年のバックナンバー

2020年のバックナンバー

2019年のバックナンバー

2018年のバックナンバー

2017年のバックナンバー

2016年のバックナンバー

2015年のバックナンバー

2014年のバックナンバー

2013年のバックナンバー

2012年のバックナンバー

このマガジンを読んでいる人はこんな本をチェックしています

月途中からのご利用について

月途中からサービス利用を開始された場合も、その月に配信されたウェブマガジンのすべての記事を読むことができます。2025年5月19日に利用を開始した場合、2025年5月1日~19日に配信されたウェブマガジンが届きます。

利用開始月(今月/来月)について

利用開始月を選択することができます。「今月」を選択した場合、月の途中でもすぐに利用を開始することができます。「来月」を選択した場合、2025年6月1日から利用を開始することができます。

お支払方法

クレジットカード、銀行振込、コンビニ決済、d払い、auかんたん決済、ソフトバンクまとめて支払いをご利用いただけます。

クレジットカードでの購読の場合、次のカードブランドが利用できます。

VISA Master JCB AMEX

キャリア決済での購読の場合、次のサービスが利用できます。

docomo au softbank

銀行振込での購読の場合、振込先(弊社口座)は以下の銀行になります。

ゆうちょ銀行 楽天銀行

解約について

クレジットカード決済によるご利用の場合、解約申請をされるまで、継続してサービスをご利用いただくことができます。ご利用は月単位となり、解約申請をした月の末日にて解約となります。解約申請は、マイページからお申し込みください。

銀行振込、コンビニ決済等の前払いによるご利用の場合、お申し込みいただいた利用期間の最終日をもって解約となります。利用期間を延長することにより、継続してサービスを利用することができます。

購読する