━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 山田順のメールマガジン「週刊:未来地図」 No.061 2013/11/05 全人類データベースはすでに完成。プライバシーゼロ社会の到来 ウェブで読む:http://foomii.com/00065/2013110509000018152 EPUBダウンロード:http://foomii.com/00065-18816.epub ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 密かに進んでいる「監視社会」。私たちのプライバシーは消滅し、やがて番号で管理される日がやってきます。そんなバカな!と言っても、もう手遅れと言うしかありません。いったいなぜ、こんなことになってしまったのか? 今回は、恐るべき近未来について考えます。 なお、今回も相当の分量があります。読み終えるのに、最低20分はかかります。 [目次]────────────────────────────────── ■「特定秘密保護法案」「マイナンバー法」が意味するところ ■私たちのプライバシーはもうないも同然 ■ビッグブラザーが支配する「監視社会」 ■オバマ大統領に激怒したドイツのメルケル首相 ■映画『フェア・ゲーム』が描く情報コントロール ■諜報活動におけるアメリカと日本の大きな差 ■米中首脳会談と習近平夫人の「iPhone5」 ■「アップログ」で個人情報がバレバレ ■ネットの中の情報は仕掛けさえつくれば覗き放題 ■スノーデン氏が暴露したNSAの覗き見の仕組み ■フェイスブックとヤフーのNSAへの抵抗 ■「911テロ」以降進んだネットによる情報収集 ■アメリカに覗き見されてもかまわないという意見も ■なぜ、インターネットは自由なのか? ■インターネット共通IDによる人間管理 ■アメリカは「全人類データベース」を完成させた ■なんの面白みもない無味乾燥世界の出現 ■テクニカルに全人類を監視するのは不可能 ■ビッグブラザーから身を守る自衛手段はあるのか? ────────────────────────────────────── ■「特定秘密保護法案」「マイナンバー法」が意味するところ 「特定秘密保護法案」という恐ろしい法律が国会で成立しようとしている。これが、成立すると、情報はすべて官僚機構に握られることになり、国民には都合のいいことしか知らせられなくなる。 また、今年5月には、これも恐ろしい「マイナンバー法」が国会で可決、成立した。この法律は、2016年1月から運用が開始されるが、運用されると私たちのプライバシーはすべて国に握られてしまう。 「マイナンバー」制度は、国民一人ひとりに12桁の番号を割り当てて、氏名や住所、生年月日、所得、税金、年金などの個人情報を、その番号で一元管理するというもの。かつて国民背番号制度と言われたものだ。 導入によって、「納税、年金、医療などの手続きが簡素化される」と喧伝されているが、それと引き換えに失うものははるかに大きい。しかし、メディアは今日まで、このことをあまり伝えていない。 すでに、私たちの情報は、インターネットに接続する限り、ほぼ丸裸にされている。これに、マイナンバー制度が加われば、ほぼ完璧な個人データができてしまう。恐ろしいのは、究極のプライバシーである「お金」と「体(健康)」の情報が、ぜんぶわかってしまうことだ。 ■私たちのプライバシーはもうないも同然 もうよほどのお人好しでない限り、「個人情報保護法」などというものは無意味だと知っているはずだ。また、すでに私たちにプライバシーなどないも同然だと知っているはずだ。世の中、ビッグデータの活用とかなんとか言っているが、これが私たちのプライバシーの売り買いだということも理解していると思う。 そんなわけで、今回は、この問題を掘り下げてみたい。このメルマガはできるだけわかりやすく、未来を分析、予測することにある。実際のところ未来は簡単に予測できるものではない。しかし、情報社会がどうなるかは、確実に予測できるのだ。 結論から言えば、ジョージ・オーウェルの小説『1984年』の世界がやって来る。私たちの世界は、間違いなくそこに向かっている。 ■ビッグブラザーが支配する「監視社会」 よく知られているように、『1984年』の世界は、全知全能の支配者ビッグブラザーが、全人類を監視する「監視社会」が完成している。市民には、プライバシーはない。したがって、自由もない。… … …(記事全文12,914文字)