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山田順の「週刊:未来地図」 ― 日本は、世界は、今後どうなっていくのでしょうか? 主に経済面から日々の出来事を最新情報を元に的確に分析し、未来を見据えます。

山田順(ジャーナリスト・作家)

山田順

シリア戦争に踏み切るオバマ大統領の変節とアメリカの近未来

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━       山田順のメールマガジン「週刊:未来地図」    No.052 2013/09/03 シリア戦争に踏み切るオバマ大統領の変節とアメリカの近未来     ウェブで読む:http://foomii.com/00065/2013090309000017200     EPUBダウンロード:http://foomii.com/00065-17871.epub ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  「本当なのか?」と耳を疑うオバマ大統領の“シリアを罰する”宣言。なぜ、アメリカはこんなに戦争が好きなのでしょうか? イラク、アフガンの教訓があり、そのうえ失敗するのがわかっているのに、なぜ戦争をしたがるのでしょうか?  今回はその理由を解き明かすとともに、今後、アメリカを襲う「財政の崖の再来」、「QE3の縮小」と「新FRB議長選び」に関して考察します。 [目次]────────────────────────────────── ■シリアに「限定的軍事行動」を宣言 ■立場を明らかにしなければ言論にならない ■「核なき世界」でノーベル賞受賞からの変節 ■神に代わって悪人を「punishing」(罰する) ■原爆投下も同じような「国際法」違反では? ■オリバー・ストーン監督の原爆投下不要論 ■原爆の使用には反対したヘンリー・ウォレス ■もしヘンリー・ウォレスが大統領になっていたら? ■シリアは第2のイラクやアフガニスタンになるだけ ■アメリカの学校では毎朝、星条旗に忠誠を誓う ■神の祝福の下に建国されたアメリカ ■いくら爆弾を落としてもアメリカにはならない ■「私たちは負け戦を戦ったのである」 ■スノーデン氏と米政府とどちらが市民の味方 ■またやって来る「財政の崖」問題 ■QE3(量的緩和第3弾)をいつ止めるのか? ■シェールガス革命はホンモノなのか? ────────────────────────────────────── ■シリアに「限定的軍事行動」を宣言  シリアの内戦に対しアメリカが軍事介入するかどうかが、いま世界のトップニュースになっている。またも、アメリカは新しい戦争を始めようとしているのだ。  アサド政権が「化学兵器を使用した」ことが、その理由だが、ここで私たちが考えなければいけないのは、メディアが問題にしているような「証拠があるのかどうか」ではない。    そんなことより、なぜ、アメリカは戦争をしたがるのか?  こちらのほうが、よほど大事だ。なぜなら、世界の出来事に対して、アメリカがいつものこの調子だと、アメリカはやがて本当に衰退してしまうからだ。それが、日本人としてはもっとも懸念しなければならないことだと思う。  オバマ大統領は、8月31日のホワイトハウスの演説で、シリアへの武力行使に踏み切る意向を示した。同時に、連邦議会の承認を求める方針も明らかにした。「これは人間の尊厳に対する攻撃であり、わが国の安全保障に重大な危険を及ぼす行為だ」と述べ、「限定的な軍事行動」を正式に提案した。  連邦議会が再開するのは、9月9日。議会与党の共和党が賛成するかどうかにかかっているが、賛成すれば、限定的とはいえ戦争が始まる。また、賛成が得られなくとも、アメリカ大統領は、単独で軍事行動を実行する権限を持っている。 ■立場を明らかにしなければ言論にならない  アメリカという国に対して、私は一般の日本人以上に親近感を持っている。   一つは、私の少年時代、青年時代をとおして、なによりもアメリカが憧れの国だったこと。もう一つは、娘がインターナショナルスクール育ちで、大学もアメリカに留学し、アメリカにはお世話になったこと。この二つがあるからだ。  つまり、アメリカが大好きであり、昔の左翼のように「アメリカ帝国主義反対」などと思ったことは一度もない。  これまでの私の人生を通じて、アメリカはいつも素晴らしい国で、私たち家族をいつも暖かく迎えてくれた。  いきなり、なぜこんなことを述べるかというと、言論や論評、分析というのは、各々が置かれた立場があって初めて成立するからだ。日本には数多くのアメリカ論がある。政治学者、経済学者、歴史学者、評論家、政治家が、それぞれ、アメリカについていろいろなことを言っている。  しかし、その多くは自分の立場を明らかにしないで成立している。とすると、そうしたことがわからないままで、彼らの話を鵜呑みするのはできない。そこで、私はまず自分の立場を明らかにしたいと思ったからだ。  余談かもしれないが、つい先日、アメリカのウェブメディア『ハフィントンポスト』の代表者アリアナ・ハフィントン女史は、サイトへの匿名での投稿を禁止することを表明した。その理由について、彼女は、次のように述べている。「言論の自由は、誰がなにを言っているかが明らかにされていることに立脚しており、匿名の後ろに隠れてはならないと感じている」
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